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法社会学者・河合幹雄の法痴国家ニッポン【52】

【高齢運転者事故続発】「暴走する高齢ドライバー激増!」誤ったイメージ醸成の理由とは?

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法と犯罪と司法から、我が国のウラ側が見えてくる!! 治安悪化の嘘を喝破する希代の法社会学者が語る、警察・検察行政のウラにひそむ真の"意図"──。

今月のニュース

高齢運転者事故続発
2016年10月、神奈川県横浜市で、87歳の男の運転する軽トラックが集団登校中の児童の列に突っ込み、8人が死傷する事故が発生。逮捕された容疑者は「どこを走ったか覚えていない」などと供述、認知症の疑いがあるという。その後、東京都立川市や小金井市でも高齢者による死亡事故が相次ぎ、高齢運転者の事故が急増しているかのような報道がなされている。

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『高齢ドライバー・激増時代:交通社会から日本を変えていこう』(学文社)

「政府としては、一連の事故を80歳以上の方が引き起こしたことも踏まえ、更なる対策の必要性について、専門家の意見を聞きながら、検討を進めてまいります」(首相官邸ホームページより抜粋)

 安倍晋三首相は2016年11月15日、高齢運転者による交通事故防止対策に関する関係閣僚会議でこう述べたそうです。

 このところメディアでは、高齢運転者による交通事故のニュースが連日大きく報じられています。16年10月末には神奈川県横浜市で、認知症の疑いのある87歳の男の運転する軽トラックに轢かれ、小学1年生の男児が死亡。翌11月には東京都立川市の病院の敷地内で、83歳の女の運転する乗用車が暴走、30代の男女2人が亡くなるなどしている。そして痛ましい事故が起こるたびに巷では、「高齢者は免許証を自主返納すべきだ」など、高齢運転者を危険視する声が高まります。まさにそうした世論の盛り上がりが、冒頭の安倍首相の発言につながったわけです。

 しかし本当に「高齢運転者の事故は急増している」「高齢運転者は危ない」のでしょうか? 結論からいえば、一面としては正しく、もう一面としては誤っているのです。そこで今回は、高齢運転者による交通事故の“虚実”に迫ってみたいと思います。

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