――ウェブから生まれたエッセイマンガが人気だ。pixivのような投稿サイトや出版社が運営するサイトのみならずブログやツイッターから商業デビューするパターンも。ウェブにマンガを公開して人気作家へ……という流れは、本当にバラ色のコースなのか!? 「ウェブエッセイマンガあるある」マンガと併せてお届け!
『鴻池剛と猫のぽんた ニャアアアン!』は、作者の個人サイトで連載されていた。
こちらの記事で触れた通り、今マンガ業界は、がぜんデジタル市場に注力するようになっている。紙の雑誌と単行本の売り上げが下がる中で、ネットに活路を見いだすのは当然のことだろう。そしてネットからは、旧来のマンガ業界とは少し異なる文脈で作られた作品も誕生している。そのひとつが、ウェブ発のエッセイマンガだ。
2015年に単行本化され、16年には続編が刊行された『鴻池剛と猫のぽんた ニャアアアン!』(KADOKAWAエンターブレイン)や、昨年立て続けに2冊が刊行された『うちの猫がまた変なことしてる。』(KADOKAWA)、同じく2冊を刊行した『腐女子のつづ井さん』(同)、あるいはさまざまなマンガ特集で話題になった『さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ』(イースト・プレス)など、これらはすべてネット上で発表されていた作品だ。それぞれツイッターやpixiv、自身のサイトなどで作者が公開していたものが人気を集めた結果、描き下ろしや改稿を加えて出版社から刊行されている。
エッセイマンガに特化したウェブ媒体も誕生している。pixivが運営する「pixivコミック」内には「ピクシブエッセイ」なる別ページが設けられ、メディアファクトリーが運営する「コミックエッセイ劇場」、さらには集英社が運営し「ジャンプ」の名前が冠された「ふんわりジャンプ」など、各社が参入してきている。
「ウェブ発のエッセイマンガは、どこのプラットフォームが勝ち組というのはまだない状態だと思います。ツイッターでバズったかどうかが重要で、今ウェブの媒体で連載している人たちも、もとはツイッターで自由に上げていたものが出版社の目に留まるパターンが多い。ファンの数が見えやすいから、だったら声をかけて単行本に、と版元も動きやすい」(中堅マンガ出版社・編集者A氏)