――2016年は、「少年マガジン」が100万部を割り込むなど、少年マンガ誌の売り上げが落ち込み続けていた。少年サンデーは高橋留美子など大御所作家の連載ばかりが目立ち、少年ジャンプですら、世間で知られているマンガがほとんどないような状態だ。そうした状態から、各出版社では売り上げを立てようとようやくウェブマンガやスマホで読めるマンガアプリに参入している。取材の中で選び抜かれたおすすめマンガの紹介と共に、マンガ業界の来し方行く末を見ていこう。
上半期 紙と電子の出版物販売金額(出版化学研究所調べ)
長らく常態的な不況下にある出版業界。なかでも、特に不調が嘆かれていた雑誌に関して、ショッキングなニュースが飛び込んできた。出版業界の調査・研究を行っている「出版科学研究所」の調べによれば、2016年における国内の出版物の販売額は、書籍7300億円、雑誌7200億円と推定され、41年ぶりに雑誌が書籍を下回る見通しだという(「出版月報」16年12月号)。
こうした状況は、かつて出版社における「売れない本/雑誌」のマイナス分を補填する機能を担っていたマンガ誌とても例外ではないようだ。
前述の「出版月報」によれば、16年1~11月期の月刊誌・週刊誌を合わせたコミック誌の推定発行部数は、前年同期比12・0%減(月刊誌が同12・3%減、週刊誌が同11・8%減)で、過去最大の落ち込み幅となったという。
では、それに対してマンガ単行本の売れ行きは好調だったのかといえば、悲しいかな、そういうわけでもない。16年のコミックス(マンガ単行本)年間推定販売金額は約8%減と、こちらも過去最大の落ち込み幅を記録する見込みだ。
しかし、希望もある。大きく冷え込んだ紙のコミック市場に対して、電子コミックが好調、大きな売り上げ増が見込まれている。あるいは、マンガ系アプリの台頭も目覚しい。「マンガが売れない」という声があちこちで聞かれる一方で、ネットやスマホ上にはマンガコンテンツがあふれ、盛んに消費されているともいえる現状──そこから見えてくる、マンガビジネスの現在・未来の姿とは?
少年誌が腐女子の巣窟に!?三強週刊誌が低迷中
三大マンガ週刊誌の発行部数推移(出典:「社団法人日本雑誌協会」発表データ等)
部数減少から、厳しい状況に置かれているマンガ誌。まずは、その分野を代表する三大少年マンガ誌、集英社の「週刊少年ジャンプ」、講談社の「週刊少年マガジン」、小学館の「週刊少年サンデー」の近況から見ていこう(以下、「週刊」は略。部数は、前述「出版月報」より)。