――ここ数年、読者の高齢化からか、週刊誌では毎号医療特集が組まれるようになった。その多くが扇情的なアオリで読者の興味を引きつける“週刊誌特有”の誌面構成だが、その内容に異論を唱える専門家もいるという。昨今話題になった医療系キュレーションサイトの問題とともに、これらのメディアについて考えてみたい。
WELQの騒動により、謝罪文を発表したDeNA。
11月29日、さまざまな病気や健康法のキーワード検索上位に表示されていた大手サイトの記事が、すべて非公開になった。
その“大手サイト”とは、DeNAが運営するヘルスケア情報サイト『WELQ』。2015年10月にサービスを開始したWELQは、その大量の記事とSEO対策で、たちまちヘルスケアサイト大手に躍り出たが、記事の大半は医学的専門知識のない外部ライターによって安価な報酬のもと書かれており、識者から疑問の声が寄せられた。当問題を検証した記事によると、ほかのサイトから引用、コピペして、わずかに表現を変えた記事や、「肩こりは霊のしわざ」などといったオカルトめいた記事も多数見受けられたという。
批判の高まりを受けて、DeNAは記事の公開を停止。今後は医師や薬剤師による監修体制を整えるなどと説明している。
しかし、問題の構造を解きほぐしてみると、医療をネタに、いかに扇情的に読者の関心を引く記事を作ることができるかという出発点から始まっているようにも思える。これはウェブメディアに限った話だろうか? 読者の高齢化が進み、好評を博す週刊誌の医療報道を見るとどのようなことが分析できるだろうか? さすがにある程度の取材費や制作日数をかけて作られる週刊誌では、ネット媒体のように切り貼りだけで構成された記事はあまり見られず、実際に医師のコメントが掲載されているものがほとんど。だからこそ、興味深い見出しを掲げ、医療への不信を取り上げた記事は人目を引く。本稿では、これらの医療記事について、どう受け止めるべきか検証してみたい。
不安を呼び覚ます一連の見出し
「~はいけない」の見出しが並ぶ週刊誌の医療記事。
「この手術をしたら一生、『後遺症』が残ります」「男たちよ 胃がん、食道がん、大腸がん、肺がんの8割は手術をしないほうがいい」「元国立がんセンター病院長がついに口を開いた『確かにダメな外科医が多すぎます』」
これらはいずれも、16年7~10月にかけて、「週刊現代」(講談社)がたびたび行った医療批判キャンペーンの記事の見出しだ。1号あたり、時に約30ページという大ボリュームで展開される記事の数々は、読むだけで病院に行くのが恐ろしくなる。