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『クロサカタツヤのネオ・ビジネス・マイニング』第36回

【クロサカタツヤ】17年は、デジタル・トランスフォーメーションが進む一方で、アンチITが台頭する!?

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通信・放送、そしてIT業界で活躍する気鋭のコンサルタントが失われたマス・マーケットを探索し、新しいビジネスプランをご提案!

今回は年末恒例のまとめ対談、編集部と2016年を振り返っていく。過去2回の対談を見てみると、残念なソーシャルの終了や、ITを使ったリアルなサービスの隆盛を予測している。今にしてみれば、「何を当たり前のことを」という話のようにも見えるかもしれないが、本連載で行われた対談と合わせて見てみると、日本社会のこれからが見えてくるかもしれない。果たして、今年の年末対談では、何が“予言”されるのか―!?

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人工知能(AI)のイメージ(日米)
出典:総務省「ICTの進化が雇用と働き方に及ぼす影響に関する調査研究」(平成28年)より作成

――この連載も、ついに4年目へ突入です。今月は、年末恒例となったクロサカさんと担当編集とで、この1年を振り返りたいと思います。

クロサカ 自分で言うのもなんですが、我ながら誌面に馴染んでいますよね(笑)。

――今年は、ネット広告から教育問題、IoTにデザインなどさまざまな視点から、「マス」について語ってきました。その中から、ウェブ版サイゾー premiumでのPVが高かった回をピックアップすると、佐藤毅さん(3月号)石田慶樹さん(7月号)、林達也さん(11月号)でしたね。それぞれテーマがMVNO【1】LINEモバイル【2】ビットコイン【3】と、時事的に注目度が高かったこともあるみたいです。

クロサカ 一般的なニュースや解説記事とは違う視点で取り上げることができたのがよかったのかもしれませんね。

――あと、ドコモのdマガジン【4】では、藤代裕之さん(10月号)の回が人気でした。

クロサカ 藤代さんは、マスメディアとソーシャルとが共振し合うことで生まれた暴力的な状況を「修羅の国」と表現していました。正直、「そう表現するのは僕だけじゃなかったんだ」とうれしかった(笑)。その背景には、林さんが話していたように、スマホの普及率が6割を超え、サイバーな空間がむしろリアルになってきたことがあります。今やネットはリアルと地続きで、普通の人のものになっています。

――昨年や一昨年の振り返りでも一貫して、「残念なソーシャルの終わり」「リアルなサービスが求められる」「個人の時代」とおっしゃってました。Airbnb【5】メルカリ【6】のようなサービスの盛り上がりや、ツイッター社の業績落ち込みを見ると、その通りになっていますね。

クロサカ ソーシャルメディアが炎上の舞台になっている一方で、テレビのニュース番組などがソーシャルメディアで集めたコメントを見ると、ビックリするほど面白くないですよね。でも、それこそが普通なんです。これまでも世間や、社会の空気の研究はありましたが、歴史上初めて「日本人」なるものを俯瞰できるようになったら、全体としてはみんなフツーだった。だからこそ、炎上する人・させる人が目立つんですが、でもさすがにみんな炎上にも飽きてきている。そうしたこともあって、個人的に田邊俊雅さん(9月号)とのお話は印象に残っています。カフェとネットの仕事を両立しながら、ソーシャルや東京の喧噪からは少し距離を取って、それでも「食べていく」ことができる。でも、そういう生き方ができるのは、この国の豊かさや社会の柔軟さがまだ健在だという証拠でもあり、僕たちはもっと自由に生きていけるってことを示している。

――個人的に印象的だったのが、豊福晋平さん(5月号)。日本の教育におけるIT利用の危機的な状況について聞き、背筋が凍りました。

クロサカ 最近はすでに、新入社員がスマホしか使ってこなかったため、PCで仕事ができないという話も出てきました。それなのに、今の教育は、ITを使わせることにネガティブで、そのチグハグ感が積もり積もって大きな課題として噴き出しつつある、というのが豊福さんのお話でした。このメッセージはものすごく大事で、日本社会はこれからあらゆるところで「デジタル・トランスフォーメーション」【7】を進めないといけないんです。

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