特大ヒット映画の背後にある軋轢
記録的に大ヒットし、いまだ興行収入を更新し続けているアニメ映画『君の名は』。大人気ロック・バンドRADWIMPSによる主題歌「前前前世」のメロディが耳に残っている読者も多いと思うが、彼らはどうやら新海誠監督や川村元気プロデューサーと大モメしていたようだ。
映画『君の名は。』の公式サイト。興行収入は一体どこまで伸びるのか?
「洋次郎君と新海監督は、もう二度と一緒に仕事をしないと思います。あんな経験をしましたから……」
音楽業界関係者のA氏は、遠い目をしながらこうつぶやいた――。
洋次郎君とは、ロック・バンドRADWIMPSのボーカル&ギターを務める野田洋次郎のことだ。長身と端正なルックスを備える彼は、かつて臼田あさ美や吉高由里子との交際が報じられたほか、映画『トイレのピエタ』(2015年)では主演を務め、第39回日本アカデミー賞・新人俳優賞に輝いたことでも知られる。それはともかく、野田率いるRADWIMPSは、2000年代半ば頃から若者の絶大な支持を得ているバンドである。
そんなRADWIMPSがすべての劇中音楽を手がけたのが、ご存じ、新海誠監督の長編アニメ映画『君の名は。』だ。今年の8月26日に公開されて以降、2度、3度と劇場に足を運ぶリピーターが続出し、劇場興行収入は12月初頭の時点で200億円を突破。邦画の歴代興行収入では『ハウルの動く城』を抜いて2位となった。また、劇中音楽を収録したRADWIMPS名義のサウンドトラックも9月にプラチナ(25万枚)アルバムに認定。このように大ヒットした『君の名は。』とその音楽が評価されたのか、RADWIMPSは今年の年末、『NHK紅白歌合戦』に初出場することが決まっている。
だが、映像制作会社プロデューサーのB氏は、次のように語る。
「『君の名は。』公開直前に、主題歌のひとつ『前前前世』のMV(ミュージック・ビデオ)がYouTubeにアップされたのですが、洋次郎君は『これを世の中に出すのは……』とためらったくらい、映像の出来に不満があったようです。実際、僕らの業界内では、かなり評判が悪い。カメラワークやカット割りなど、クオリティが低いですね」