映画と文学ビジネスの関係
エンタメ不況の今、テレビ局や映画配給会社では、ヒットしたマンガや小説の映像化の企画ばかりが通っている状態だ。一方の出版社側も、映像化にぶら下がりなんとか書籍を売る機会を作りたいところだが、なかなか思い通りにはいかず、あの手この手が続いているが……。
アマゾンレビューに批判が殺到する東野圭吾の近著。やはり高額な単行本がつまらないと、怒りたくもなる。
A:中堅出版社文芸編集担当
B:大手出版社書籍営業担当
C:中堅出版社書籍営業担当
A 文芸の世界では、相変わらず映画とのタイアップが続いているね。
B ヒット作や売れ線の作家に関しては、早い段階から話が来ても、なかなか実現しないパターンも多いですけどね。多分、話が頓挫したまま浮いてる作品もたくさんあるはず。
C この11月だけでも、北杜夫『ぼくのおじさん』、(新潮文庫)樋口卓治『ボクの妻と結婚してください。』(講談社文庫)、荒木源『オケ老人!』(小学館文庫)が公開中。それから、2001年にTBSでテレビドラマ化した大崎善生原作の『聖の青春』(角川文庫)も、公開されますね。
A 『聖の青春』はもともと講談社から出版されて文庫にもなったけど、映画化を見込んで角川書店からあらためて文庫になっている。もちろん配給もKADOKAWA。
B KADOKAWAは、映画化にかこつけて文庫を他社から引っ張ることで、電子書籍化の権利を狙っているそうですね。