――強姦致傷容疑で逮捕された高畑裕太の一件では、被害女性との示談が成立し、不起訴処分となった。では、性犯罪で逮捕された者を弁護するプロセスとは、いかなるものなのか? また、「性犯罪者は再犯率が高い」という言説もあるが、法によって性犯罪者を“正す”ことは不可能なのか? 性犯罪とそれをめぐる法律のキワどい実態を暴きたい!
メーガン法を導入しているアメリカの多くの州は、ネット上で性犯罪の前科がある者の居場所を公開している。
2016年8月、高畑裕太が滞在中のホテル従業員に対する強姦致傷容疑で逮捕されたが、9月に被害女性との示談が成立し、不起訴になった。有名女優の息子で売り出し中の俳優による性犯罪ということで、芸能ニュースは大騒ぎとなった。
“性犯罪”とよく言われるが、法律においては“性犯罪”というくくりはなく、性的動機による犯罪を俗に“性犯罪”と総称している。具体的には“強姦罪”や“強制わいせつ罪”が思い浮かぶが(特定の被害者がいない“わいせつ物陳列罪”や“公然わいせつ罪”はここでは除外して考える)、それだけでは性犯罪の実態を表しているとは言い難い。というのも、痴漢は下着の中に手が入れば“強制わいせつ罪”になるが、服の上から触る行為は“迷惑防止条例違反”であるし、下着ドロは“窃盗罪”、のぞきは“住居侵入罪”として処理されるからだ。さらには、このような恐ろしい話を、桐蔭横浜大学法学部教授の河合幹雄氏が語る。
「調査によると、無期または死刑となった殺人事件の被害者のうち、3分の1ほどは死亡前か後かに性的暴行を受けている。その場合、司法解剖後に遺体をきれいに洗い、遺族には強姦・死姦の事実は伏せてお返ししているようです。強姦や死姦の事実を明らかにしたところで、それ以上の刑罰にはできないし、遺族の感情を傷つけるだけですからね」