――こちらの記事では、“自由闊達な性表現のひとつ”として獣姦春画を見てきたが、精神医学の世界では、獣姦はやはり、「性的倒錯に診断される」ようで……
『性倒錯者 だれもが秘める愛の逸脱』(化学同人)
議論の進まない獣姦について、精神科医の横山章光氏はこう指摘する。
「動物と人間の関係にはさまざまな切り口がありますが、医学的観点では、身体科と精神科に分けられて分析されています。しかしながら、精神科の教科書に動物と人の関係に関する記述はほとんどありません。一般的に用いられる精神科の診断基準である『DSM-Ⅳ TR』に記載された動物と関連した人の精神疾患は3つ。『行為障害』である動物への虐待、『恐怖症』のひとつである動物恐怖症、そして『性障害』の性嗜好異常、つまり性的倒錯に入る動物性愛です。
ただ、動物性愛者と獣姦者もまた、イコールではありません。動物性愛者はあるひとつの個体、例えば飼っている動物を愛する。その中に大抵は性行為が含まれるわけですが、別に性行為を含まなくても、抱きしめるとか愛情を伝えるだけで満足できる人もいます。一方で、獣姦者は“愛情を持たずに”いろいろな動物とセックスをするのです」