――東京都知事選では下馬評通り圧勝した小池百合子。かつて石原慎太郎は、国の法律よりも厳しいディーゼル車排ガス規制の条例を制定したが、小池都知事も五輪に向けて大胆な条例を制定する可能性もある。今回の企画では、法律にプラスαの要素を加え、時には法律にも先んじる「自治体の条例」を研究。東京都やその他の地方自治体の条例を見ながら、その正体に迫る。
(絵/きたざわけんじ)
盗撮事件等軽犯罪で目にする「東京都迷惑防止条例」、千代田区では歩きタバコで2000円を徴収される「路上喫煙禁止条例」、さらには『ポケモンGO』をしながら深夜徘徊していた少年553人を補導したことが今年ニュースになった「東京都青少年育成条例」……。国が定めた法律ではない、こうした自治体の条例が、逮捕や補導といった強制力を持つのはなぜなのか? またその制定や強制力にはどのような法的根拠があるのだろうか? 法律や条例の仕組みや現状に詳しい有識者の声をもとに見ていこう。
まず、条例が法律でどのように規定されているのかを、弁護士法人ALG&Associatesの山岸純弁護士に説明してもらった。
「憲法では第41条において、『国会は、国権の最高機関であって、国の唯一の立法機関である』と規定されています。ただし第94条では、地方公共団体について『法律の範囲内で条例を制定することができる』としている。これが都道府県や市町村、東京23区のような特別区が条例を制定できる根拠になります」(山岸氏)
そして条例には、大きく分けて2つの種類があるという。