――医療技術の向上や患者の選択肢としての利用のために公開されている手術動画。その社会的意義がある動画を、公開者の意図に反した目的で閲覧している人たちもいる。その好事家のひとりで、前項では彼女なりの手術動画の魅力を語ってくれたイラストレーターの腸皺ミタ女史に、その魅力を聞いた。
腸皺ミタ氏。
──ミタさんは内臓がお好きとのことですが……いつ頃から興味が?
腸皺ミタ(以下、ミタ) 10代の頃からイラストを描いているのですが、その目的が“家族を殺す”ためでして。
──すいません、早速何言ってるのかわかりません。
ミタ 効率よく殺すためにはまず、人体の仕組みを知る必要があるなと思って。当時はまだ動画はなかったので、「インサイドヒューマンボディ」(ディアスゴスティーニ)や「週刊マーダーケースブック」なんかを読んで内臓の位置関係を勉強して、その一環としてイラストを描き始めたんです。
──ははぁ……。
ミタ 自分の内臓を実際に見られればいいんですけど、ほら、実際に見れる状況って、死んでるでしょう? でも、一度だけ、自分の内臓を見たことも触ったこともあるんですけどね。ふふふ。
──え!?