――動画サイトで「オペ」「手術」と検索すると山のように出てくるのが、医療現場の関係者がアップする「手術動画」だ。モザイクなし、R指定なしの生々しい動画たちは時に、医療関係者の教材として、好事家にとってのエンターテインメントとして活用されている。この手術動画について、医療現場、愛好家それぞれの視点から、その意義を聞いた。
本文中にご登場いただいた東京外科クリニック、大橋直樹医師の腹腔鏡下鼠径ヘルニア修復術。華麗な施術の様子は、素人目にも感動する。(YouTubeより)
ドクドクと脈打つ内臓や、皮下脂肪のぶりんぶりんしているさまなどが視聴できるとして、一部の好事家(や、本業の医師、手術を控えている患者)に視聴されているという手術動画。もちろん、それらはドラマや映画で使われるフェイクではなく、実際の医療現場で撮影されているものである。YouTubeなどの動画サイトには、そんな生々しい動画が思いのほか多数アップされており、中には60万回近く再生されている心臓手術動画も存在している。しかも、腹腔鏡手術から美容整形までジャンルも多岐にわたり、その気になれば“好みの部位”で検索することもできてしまう。グロさレベルで言えば、映画なら年齢レーティングがついてもおかしくないような代物だが、なぜこのような動画がアップされているのか? 当然、その投稿者は医療関係者であり、まさか医師が「グロ動画で再生数稼ぐぞ!」なんて狙いで上げているわけではあるまい。
病院の開業からPRまでをサポートする医療コンサルティング会社「FPサービス」代表・椎原正氏は、医療業界における動画の需要を分析した上で、こう説明する。
「手術動画をアップしているのは、プロのドクターたちです。理由はいろいろありますが、彼らは第一に、ほかのドクター向けに公開しているんですよ」