サイゾーpremium  > 特集3  > 俺たちは劇場でEXILEとタイマン張ったんだ――「ハイロー」続編の行方を予想する!
第3特集
2016年一番の怪ヒット!? 『HiGH&LOW THE MOVIE』大研究【3】

俺たちは劇場でEXILEとタイマン張ったんだ――『HiGH&LOW』でHIROが望むのは「親殺し」? 今後の展開を予想する!

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【前編】はコチラ

――今夏、元来のLDHファンのみならず、一部の層にやたら突き刺さった映画『HiGH&LOW THE MOVIE』。一体、何が我々をそんなに惹きつけたのか……? ヤンキーマンガや映画を長年見続けてきたライター・藤谷千明氏と、アクション映画やバイオレス映画に造詣の深いライター・加藤ヨシキ氏が、その理由を戸惑いながら分析します。なお、同席している担当編集は重度のLDHヲタです。

【鑑賞POINT・6】『HiGH&LOW』とは「信頼」の映画である

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雨宮兄弟の長男(中央)誰かに似ている気が…。(『THE RED RAIN』公式HPより)

藤谷 映画本編の話に戻すと、2000年代以降の不良マンガ、たとえば『QP』や『莫逆家族』、『サムライソルジャー』がそうだったように、不良のグループでカリスマだった人が大人になれないというストーリーって、この十数年くらい不良マンガの大きなテーマなんですよ。でも『サムライソルジャー』にしても『QP』にしても、あまりうまい落とし所が見つかってない気がするんです。例えば『QP』の場合は我妻涼はラストに撃たれて声を失ってしまうけどそのまま生きつづける、というある種美化した結末で、『サムライソルジャー』もバタバタした感じで終わっていて。

『QP』も『サムライソルジャー』も、同年代の主人公が、大人になれないヤツに対して「お前いいかげんにしろよ」って言うのがこれまでのパターンだったんですけど、『HiGH&LOW』の場合、先に大人になった人間である龍也はすでに死んでる。だから琥珀さんはおかしくなってしまって、それを下の世代の人たちが頑張って止める。さっきの『B-BOYサラリーマン』の話もそうですけど、下の世代に対する信頼があるのではないでしょうか。これは2冊めの著書『ビビリ』にも書かれているんですが、ZOOの解散からドン底だった時代を経験しているからこそ、「永遠に続くグループ」という夢がHIROさんの中にはある。だから自分の意志を継いだ下の世代を絶やしたらいけない、さらにEXILE TRIBEをどんどん広げていって永遠のものにしないとならない。そういった身内に対する信頼とさっき言ったようなプロフェッショナルに対する信頼がある。つまり『HiGH&LOW』は「信頼」の映画なんですよね。

加藤 それはすごくわかります。たぶん下の世代に対する信頼はすごい強い。だいたいヤンキーマンガで下の世代の人って、上に叱られる立場ですよね。

藤谷 それに下の世代を中心にした続編はだいたいうまくいかないですよね。

加藤 強烈なカリスマ性がある人がいて、その人のカリスマ性を下は受け継げないというか、そのせいで下が屈折しちゃうとか、そういう話はすごく多い。『ゴッドファーザー』みたいな感じなのかなぁ。

藤谷 『ゴッドファーザー』も最終的には、下の世代にうまく繋げなかったという話ですしね。

加藤 「『HiGH&LOW』=HIROさんの私小説」説に戻っちゃうんですけど、今は多分まだHIROさんの「回想編」なんですよ。ZOOという名のMUGENが解散してどうしようもなくなって、行き詰まったあとに居酒屋で「HIROさぁん!」って言われるところまでの話で。次が描かれるとしたら、そこからEXILEとして成り上がっていく話だと思う。で、そこを描いてしまったら、作品が現実に追いついちゃうんですよね。

藤谷 『THE RED RAIN』はまったくMUGENとは関係ない雨宮兄弟の話になるのでしょうか。とはいえ、『THE MOVIE』の最後にちらっと登場した雨宮長男は、HIROさんに見た目そっくりじゃないですか。

加藤 そうなんですよ。その雨宮兄弟がこれから成り上がっていく話になったら、いよいよ「『HiGH&LOW』=HIROさんの精神世界」説が……。

【鑑賞POINT・7】「九龍グループ=芸能界・テレビ界」?

藤谷 雨宮兄弟=HIROさん=LDHとすると、『THE RED RAIN』が雨宮兄弟が九龍グループをぶっ潰す話になるんだとしたら、LDHが旧来の芸能界・テレビ界を叩き潰す比喩として受け取ることもできますよね。


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