――本特集でも度々触れている通り、かつての京都といえば怪しいフィクサーが跋扈していた。なぜ彼らは京都を舞台に暗躍したのか?
『黒幕といわれた男―山段芳春の素顔』(洛風書房)
かつて京都という街には“妖怪”が棲んでいた。神話や怪談の類いではない。山段芳春、滝西清吉、厳密には大阪の人間だが、京都を舞台に暗躍した点でいえば許永中……。闇の人脈と資金力で行政や企業の運営に思うがままに介入し、操ってきたフィクサーと呼ばれる人々だ。
バブル期にはこうしたフィクサーが関与した経済事件が次々と露見したが、その多くが京都を震源地として発生した。
例えば、京都駅から歩いて5分ほどにある崇仁地区を金融業者の武富士が開発しようと試みた。だが、ここはかつての「同和」地区であったので、同地区の出身者に地上げを依頼したことに端を発する暴力団がらみの殺人事件・通称「武富士京都土地問題」などが有名だ。この土地は現在でも空き地が点在しており、何度かこの土地への学校や企業の移転が話題に上っているが、今のところ変化はない。