サイゾーpremium  > 連載  > 稲田豊史の「オトメゴコロ乱読修行」  > 女性にとって元カレは、幼児のときにお気に入りだったイチゴのパンツ程度の存在。
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フィクションで解剖――オトメゴコロ乱読修行【16】

女性にとって元カレは、幼児のときにお気に入りだったイチゴのパンツ程度の存在。

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――サブカルを中心に社会問題までを幅広く分析するライター・稲田豊史が、映画、小説、マンガ、アニメなどフィクションをテキストに、超絶難解な乙女心を分析。

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「女は上書き保存、男は別ファイル保存」

 男女の恋愛観の違いをPCのファイル保存方法にたとえた、有名な現代格言だ。その心は、「女は今まで付き合った男に未練がない。男は今まで付き合ったすべての女に、未練やしがらみを感じる」。男脳・女脳をテーマにした実用書やネット記事で、これが書かれていないものはない。

 これをサイゾー読者用にチューニングして説明するなら、男にとって元カノ・元妻は「がんばってクリアしたファミコンカセット」。可視化された履歴書であり、戦闘機の撃墜マークで、ガラスケース陳列級の「努力の跡」なので、カセットに名前を書いてちゃんと引き出しにしまっておく。クリア時のセーブデータは絶対に消さない。

 しかし、女にとって元カレ・元夫は「飽きたスマホのゲームアプリ」。端末の容量が不足してきたら、容赦なく消す。大切なのは今プレイ中のゲームであり、過去に何のゲームをどれくらいやり込んだかの記録など、どうでもいい。「努力の跡」に価値は見いださない。人生は有限なのだ。飽きたアプリを端末に常駐しておくほど、(私の人生の)容量に余裕はない。見限った男には、1キロバイトだって使いたくないのだ。

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