プナン社会のペニス・ピンという性器変工文化をこちらの記事の中では紹介したが(右画像は、プナン人が作成したペニス・ピンの模型/奥野氏提供)、快楽のために女性が性器変工を行う社会もある。
ミクロネシアのトラック社会やポナペ(現ポンペイ島)社会では、女性器を肥大させるのが女性の性的欲望を高めることにつながると考えられており、子どもの頃から小陰唇を引き伸ばす工夫を施す。
海での水浴びの際に海藻やサンゴをこすりつける、毒性のある草や樹液を付着させる、ハチやアリなどの昆虫に噛ませたり刺させたりするなどさまざまな方法を用いて、大陰唇の外部に小陰唇がはみだす形を目指すのだ。小陰唇が花びらのようにひらひらした性器を持つ女性は、より男性から欲望されるようになる。
日本や西欧社会においては、性器含め身体変工といえば、ある種のフェティシズムやファッションという捉え方をされる場合が大半だが、これらの社会ではより直接的な快楽や、性的魅力、あるいは「女らしさ」「男らしさ」を醸し出すことに利用されている。セックスのやり方のみならず、理想とされる性器の形すらも、社会によって異なっているのである。