パネル「9000人の証言 写真で見る戦争責任」(1990年代)より。(福島菊次郎写真パネル保存会とKYOTOGRAPHIEの提供)
報道写真家の福島菊次郎は、1982年に瀬戸内海の無人島・片山島での生活を始め、表舞台から姿を消した。日本の政治にも、国民にも、出版界にも、東京にも絶望し、日本人であることさえ拒否しようとした結果の入植だった。長年テーマとしてきた社会問題が何ひとつ解決していないことへの憤りが福島を無人島へと導いたともいえるだろう。しかし、人間社会から隔絶したこの島での自給自足の暮らしは、体調を崩したことにより翌年に終わりを迎え、88年には胃癌の手術を受けることとなる。