連載
写真時評~モンタージュ 現在×過去~

福島菊次郎の遺言(下)

+お気に入りに追加
1606_shashin.jpg
パネル「9000人の証言 写真で見る戦争責任」(1990年代)より。(福島菊次郎写真パネル保存会とKYOTOGRAPHIEの提供)

 報道写真家の福島菊次郎は、1982年に瀬戸内海の無人島・片山島での生活を始め、表舞台から姿を消した。日本の政治にも、国民にも、出版界にも、東京にも絶望し、日本人であることさえ拒否しようとした結果の入植だった。長年テーマとしてきた社会問題が何ひとつ解決していないことへの憤りが福島を無人島へと導いたともいえるだろう。しかし、人間社会から隔絶したこの島での自給自足の暮らしは、体調を崩したことにより翌年に終わりを迎え、88年には胃癌の手術を受けることとなる。

ログインして続きを読む
続きを読みたい方は...

Recommended by logly
サイゾープレミアム

2025年5月号

新・ニッポンの論点

新・ニッポンの論点

NEWS SOURCE

インタビュー

連載

    • 【マルサの女】名取くるみ
    • 【笹 公人×江森康之】念力事報
    • 【ドクター苫米地】僕たちは洗脳されてるんですか?
    • 【丸屋九兵衛】バンギン・ホモ・サピエンス
    • 【井川意高】天上夜想曲
    • 【神保哲生×宮台真司】マル激 TALK ON DEMAND
    • 【萱野稔人】超・人間学
    • 【韮原祐介】匠たちの育成哲学
    • 【辛酸なめ子】佳子様偏愛採取録
    • 【AmamiyaMaako】スタジオはいります
    • 【Lee Seou】八面玲瓏として輝く物言う花
    • 【町山智浩】映画でわかるアメリカがわかる
    • 【雪村花鈴&山田かな】CYZOデジタル写真集シリーズ
    • 【花くまゆうさく】カストリ漫報
サイゾーパブリシティ