連載
丸屋九兵衛の音楽時事備忘録「ファンキー・ホモ・サピエンス」【35】

【プリンス】38年間の狼藉に感謝し、亡き王子の思い出を。

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『HITnRUN Phase Two』

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プリンス(発売元:ソニーミュージック)
数年の沈黙を破った2014年の『Art Official Age』以降、創作意欲が爆発していた殿下。前作『HITnRUN Phase One』同様のサウスパークなイラスト・ジャケットで登場したのが、生前に仕上げた最終作、39枚目のアルバムである本作。最高のアルバムとは思わないが、社会的メッセージも入って、まずまずの出来だろう。


 アメリカ現地時間・4月21日、朝。プリンス・ロジャーズ・ネルソン57歳の訃報が伝えられて以来、インターネット上ではその衝撃や喪失、悲嘆を訴える声が絶えない。

 しかし……長年、プリンス信奉者として知られてきた私は、会社の同僚にも自分の母親にも「お悔やみ申し上げます」と言われたが(ワシはどっちの身内やねん)、いまだに衝撃も喪失も悲嘆も感じておらん。彼の死が、あまりに非現実的に思えて。

「歳をとらないとしたら、若いことになんの意味がある?」。そんな名文句を「Gold」という曲の中で放った彼は……と、プリンスがかつての恋人・ヴァニティの死をステージ上で悼んだことを、私が本誌で書いたのは3月発売の前々号本欄

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