――今、ラップを取り入れた落語が増えている。月亭太遊が演じる「らぷご」に、澄川白ボーが演じる「ラップ落語」。いずれもその親和性を感じさせる新作落語として、注目を集めているのだ。話題のR-指定をはじめ、落語を愛するラッパーたちも少なくないということで……勝手にその共通点を分析してみたい。
『昭和元禄落語心中(1)』(講談社)
落語を題材としたマンガ『昭和元禄落語心中』(講談社)などの影響もあり、何度目かのラップブームと時を同じくして、落語もここにきて、にわかに注目を集めている。ラップと落語。生まれた国も時代もまったく違うこの2つの文化に、同時にブームが来ているということは、そこには何か共通性があるのかもしれない……。そういえば、ラップも落語もマイク1本で客を魅了する“話芸”的な側面が強い。
そこで、吉幾三の「俺ら東京さ行ぐだ」に始まり、EAST END×YURIの「DA・YO・NE」、m.c.A・TからDragon Ash、RIP SLYMEと、歴代のヒップホップ、ラップブームの上辺だけはなんとなく体験してきた筆者が、上方落語の和芸澄川流一門の澄川白舟と、その弟子で”ラップ落語家”の白ボー両氏のコメントを借りつつ、落語側の視点から、その共通性や親和性を考えてみたい。