――こちらの記事で触れた、ハスラー・ラップのリリシスト・BES。今年の4月にアルバムを発表したが、実は13年に服役することになり、つい最近まで獄中にいたのである。では、その新作はどう作られたのか? 出所間もない本人を直撃した──。
(写真/細倉真弓)
ミュージシャンズ・ミュージシャンならぬラッパーズ・ラッパーというか。類いまれな才能を持っているのにもかかわらず、さまざまな事情により表舞台で脚光を浴びることが少なく、玄人からの支持を蓄え続けてきたBESのニュー・アルバム『UNTITLED』は、本人が服役中にリリースされた。実に彼らしくもあるが、ミュージシャンが逮捕されると、新作が発売中止になるのはもちろん、過去作まで回収になる日本では非常に珍しいケースだ。もしくは、そこに収められたBESのいつもより少しラフなラップからは、窮屈なこの国でアウトローとして生きる人間のブルースが聴こえてくる。出所したばかりのBESと、彼が不在の間に制作を進めたプロデューサーの318に話を聞いた。
アレの過剰摂取と顔の横にいた“誰か”
──どれぐらい入っていたんですか?
BES 「実質、2年半です」