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更科修一郎の「批評なんてやめときな?」【12】

働かないと死ぬ、出版業界に戻っても死ぬ…幽霊、出版業界の蠱毒に唖然とする。

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――ゼロ年代とジェノサイズの後に残ったのは、不愉快な荒野だった?生きながら葬られた〈元〉批評家が、墓の下から現代文化と批評界隈を覗き込む〈時代観察記〉

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待望の一冊は、瀕死の出版文化とプロの引退を悼む一冊か、出版業界再生のヒントが詰まった一冊か。

 先月号の特集で報じられた通り、業界4位の書店取次だった栗田出版販売に続いて、5位の太洋社も破産した。売掛債権の見込みが甘かったのもあるが、約8億円の負債があった大口取引先の芳林堂書店が先手を打って自己破産したことが決定打になった。昨年秋から自主廃業の話は出ていたので、それほど驚きもなかったのだが、2月初旬に芳林堂の旗艦店である高田馬場店で、配送倉庫からの商品入荷停止を告知したのは尋常ではなかった。太洋社の支払い要求を「無い袖は振れない」と拒否したことから送品を止められたのだが、これに対して芳林堂側は自己破産申請で報復し、ダブルノックアウトの連鎖倒産となった。もっとも、芳林堂はすぐに書泉へ事業譲渡を発表している。書泉は書泉で、昨年秋に旗艦店のひとつだった神保町の書泉ブックマートを閉店したのに何故? という気もするが、2011年にアニメイトグループの傘下となっているから、大型店舗再編の一環なのだろう。

 それ以上に、あのアニメイトが日本屈指の書店チェーンとなったことに隔世の感もあるが、かつてはコスプレダンパや同人誌即売会を細々と運営していたブシロードも日本を代表するコンテンツ企業になり、川崎の『シティ・オブ・ゴッド』なスラム街の殺人少年集団にまでスクールアイドルというバーチャルドラッグが流通し、プロレス経由で馳大臣も抱き込んでクールジャパンの政商へ成り上がっているので、まったく「SUGOI JAPAN」だ。

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