――昨年は又吉直樹『火花』が芥川賞を受賞し、発行部数が200万部を突破と、久々に明るい話題が飛び出した文芸業界。ただ、大半の作品が売れていない実態は以前と変わっておらず、出版社以上に困窮しているのが、作品を生み出す作家たちだ。彼らの収入源などの実態は、いかなるものなのだろうか?
(絵/管弘志)
「本当に転職を考えなくては。専業作家になったのは失敗だったと強く思う」
今年2月、鮎川哲也賞の受賞歴もあるミステリー作家・相沢沙呼がツイッターでそう心情を吐露して話題となった。「確かに、安定した収入がある作家はごく一握りです」と文芸編集者は語る。
「あの伊坂幸太郎ですら専業作家となったときは『なぜ辞めたんだ』と担当編集に咎められたそうですし、『作家は専業では食べていけない』というのは古くからの常識です。売れっ子の朝井リョウですら直木賞受賞後も映画会社でサラリーマンを続けていて、昨年やっと専業になりましたからね」