――オイルマネーやガソリンの安さもあり、モータースポーツが盛んだというドバイ。そこである競技で世界チャンピオンになった日本の若者が、ひょんなきっかけで王族とかかわりを持つようになったという。
アマ時代に世界王者に3度輝いた小原聡将選手。中学時代にドバイで本格的に競技を始めた。
競馬やサッカーなどのスポーツの世界でも中東諸国は大きな存在感を示すようになってきた昨今。その台頭の背景には、どのような理由があるのか。また、中東を舞台に活躍するスポーツ選手たちは、イスラム文化のことをどう思っているのか。それを探るべく、ひとりの日本人アスリートにインタビューを行った。
彼の名は小原聡将。現在、千葉工業大学に在学中で21歳の彼は、水上バイク世界大会にて、アマチュアクラス、プロ/アマクラスの世界チャンピオンを獲得しているスゴイ人物だが、競技を本格的に始めるきっかけはドバイにあった。
「僕の父親は日本で水上バイクショップを経営していたのですが、僕が中1の頃に、ドバイの人から『現地に来て、マシンの改造をしてほしい』と連絡があったんです。それで父は中東に頻繁に通うようになったんですが、呼んでくれた人は曽祖父が王様という王族の家系で。それで幼い頃から水上バイクをやっていた僕も、『こちらはジュニアクラスのレースがあるし、サポートするから来ないか』と誘われ、7カ月間現地で暮らすことになったんです」