正確には「クルアーン」。西暦610年頃、預言者ムハンマドがメッカ郊外で受けた神の啓示を、650年頃までにまとめたものとされる。「開端」から「人々」までの全114章から成る「神の言葉」そのものであり、「ハディース」(ムハンマドの言行録)と共に、イスラム教の根幹を成すものである。
世界で16億人ともいわれる信者数を誇るイスラム教の聖典であるコーラン。あくまでも人が書いたものであるキリスト教の聖書と違い、神の言葉そのものである。(写真/アフロ)
保坂氏が最初に挙げるのが、650年頃に編纂されたとされる「コーラン」だ。正確な発音に近づけるならば「クルアーン」、イスラム教の唯一神・アッラーが預言者ムハンマドに下した啓示を書物にまとめたもので、イスラム教徒にとっての聖典だ。
「中東やイスラム世界を理解する上では欠かせない一冊であり、最初の1歩。イスラム世界では、宗教的な場のみならず、政治的な場においてもコーランが引用されていることが多いですから」
アラブ世界においては、政治・経済から日常生活まで、いたるところでコーランが引用される。キリスト教における聖書と比較しても、コーランのほうがより現実的に生活を規定するものであり、その影響力は強い。聖書はあくまで人間が書いたものである一方、コーランは神の言葉そのものだからだ。