法と犯罪と司法から、我が国のウラ側が見えてくる!! 治安悪化の嘘を喝破する希代の法社会学者が語る、警察・検察行政のウラにひそむ真の"意図"──。
今月のニュース
警察に自動小銃を配備
2015年12月、警察庁は、同年11月のパリ同時多発テロ事件を受け、大都市のある都道府県警の銃器対策部隊に対し、自動小銃の配備を決定。防弾車両等の導入とあわせ、15年度補正予算案に約17億8000万円を盛り込んだ。銃器対策部隊は全国に約1900名を擁し、凶悪犯罪への対応や原発警備などを任務とする。
1993年にアフリカ・ソマリアで起こった「モガディシュの戦闘」を元にした01年の米映画『ブラックホーク・ダウン』。(販売元/ポニーキャニオン)
ニッポン警察に自動小銃が配備される――。年の瀬も押し迫った2015年12月19日、こんなニュースが飛び込んできました。テロへの対応力強化のため警察庁が、都道府県警の機動隊に設置されている銃器対策部隊への自動小銃の配備を決定した、というものです。
もちろんこれまでも、警視庁ほかいくつかの道府県のもとに存在する特殊部隊(SAT)に限っていえば自動小銃は配備されていました。しかし今後は、総勢2000名弱、都道府県レベルにまで導入されることになるという。
この意味は大きい。なぜなら自動小銃を所持するということは、ある局面において日本警察が“軍隊”になり得ることを意味するからです。それはどういうことなのか? そして、そもそも自動小銃とはなんなのか? 今回は、一部の軍事マニアが盛り上がった以外、メディアも国民も聞き流してしまったこのニュースが持つ意味について、解説を加えてみたいと思います。
まず、そもそも自動小銃とはどんなものなのかについて押さえておきましょう。現状、テロ対応や原発警備に当たる銃器対策部隊に配備されている自動火器は、自動小銃ではなく、機関拳銃(サブマシンガン)に分類されるドイツ製のH&K MP5です。弾丸は拳銃と同じ小型の9×19ミリ弾、有効射程は200メートル。基本的に銃器の威力は使用する弾丸で決まるので、連射可能であることを除けば、威力自体は拳銃とほぼ同じと考えていいでしょう。