通信・放送、そしてIT業界で活躍する気鋭のコンサルタントが失われたマス・マーケットを探索し、新しいビジネスプランをご提案!
MVNOサービス契約数の推移 出展:総務省↑画像をクリックすると拡大します。
――スマホの月額料金を抑える“裏技”として広く知られるようになったMVNO。「格安SIM」や「格安スマホ」なんて呼ばれ方で、ニュースや雑誌の見出しを飾ることが増えている。月額1000円を切るような値付けは、とても魅力的なのは間違いない。でも、実は「MVNOの可能性はそれだけじゃない」と“中の人”は考えているのだ。スマホでネットをするのは確かに楽しくて便利だけど、通信とかネットワークは、僕らの生活とか社会の仕組みとかをもっと便利で快適にしてくれるはず。そのためには、いろいろなビジネスがどうなっているかじっくり考え、それと通信をどう組み合わせればよいのか、アイデアこそが大切だ。そんなふうにMVNOによる新しいビジネスの可能性をMVNOの“中の人”ケイ・オプティコムの佐藤毅さんと一緒に考えてみた。
クロサカ ここ数年でMVNO【1】がずいぶんメジャーになりました。ドコモやauなどのMNO【2】から回線を仕入れて、独自の料金プランや通信サービスを提供する事業者のことです。そこで今回は、mineo(マイネオ)【3】ブランドでMVNOを展開するケイ・オプティコムの佐藤毅さんをお迎えしました。佐藤さんは、今のMVNOをどうとらえていますか。
佐藤 MVNOは、メディアで格安SIM、格安スマホ【4】と呼ばれることが多いんですが、僕はそうネーミングされてしまったのがとても残念です。わかりやすく伝えるためということはわかるのですが、果たして格安SIMというのが最適な言い換えなのかな、と。
クロサカ デフレ時代において、格安というのは正義でしたから、格安SIM、格安スマホという名前は消費者に強くアピールしましたよね。
佐藤 日本には言霊という言葉があって、口にする言葉の通りになるという考え方があります。だからネーミングというのはものすごく大事なんです。例えばほかの業界でMVNOに相当するものって、航空業界のローコストキャリア(LCC)がありますが、あれは余計なものを削ってコストを抑えている「ローコスト」であって「ロープライス」ではない。その意味では、MVNOもロープライスではなくてローコストであって、だからこそ柔軟に料金設定できることに意義があるはずです。
クロサカ 単に「安かろう悪かろう」ではなく、事業者側の企業努力によって、新しい付加価値が生まれるはずだ、ということですか?