――緻密な取材に基づいた日本経済の問題点を、ミステリという形で告発してきた著者が、今回ターゲットにしたのは……。
(写真/永峰拓也)
ドラマ化もされた28万部突破のベストセラー『震える牛』の続編『ガラパゴス』が話題だ。
オーソドックスな警察小説の体裁を取りながらも、そこには経済大国ニッポンの屋台骨を支えてきた自動車&電機の2大産業が抱える闇と矛盾がテンコ盛り。とある派遣労働者の死を端緒に動きだす事件のスケールの大きさ、舌鋒のするどさは、さすがBSE問題に斬りこんだ前作で食肉業界を大いにザワつかせた“要注意人物”な著者だけのことはある。
「企画が通った当初は、大企業のドロドロとした思惑なんかをもっとクローズアップするつもりでいたんです。一般の消費者が勝手に抱いている“ジャパン・アズ・ナンバーワン”的なイメージに対して、もはや全然そんなことないんだよって言いたくて。
でも、ふと気になってそこで働いている人たちにフォーカスしてみたら、いつから日本はこんなにヒドい国になったんだっていう暗部が見えてきた。これまで僕自身がまったく知り得なかった、恐ろしい現実に直面したんです」