NHK紅白歌合戦公式HPより。
昨年の大晦日に放送された『NHK紅白歌合戦』の視聴率が発表され、業界関係者たちがざわついている。というのも、関東地区で記録した第2部の平均視聴率39・2%が、平成元年以降の歴代視聴率の中でも最低の数字だからである。
NHKの籾井勝人会長は4日の年頭挨拶で、「もしかすると視聴率が間違っているんじゃないかと思うくらい良かったと思う」と今回の紅白を自賛していたが、結果が伴わないのであれば、元も子もない。この最低視聴率の原因は一体なんなのか。TV誌の記者は以下のように語る。
「テレビ全体の視聴率が下がっていますから仕方ない面もあるかと思います。しかし、やはりなんといってもタモリさんの司会辞退が痛かったんじゃないですかね。『笑っていいとも!』(フジテレビ)終了以降も根強い人気を誇るタモリさんを総合司会に担ぎ出すことができたなら、違う結果が出ていたかもしれない。黒柳徹子さんの総合司会も発表の時点ではインパクトがありましたが、本番フタを開けてみれば出演時間は本当にわずかだった。ご高齢で、リハーサルの時から周囲の支えがないと歩けない状態だったようですから仕方ありませんが、紅組司会の綾瀬はるかさんと白組司会の井ノ原快彦さんだけでは、絵的に物足りなさがあったのは否めない」
同局の帯番組『あさイチ』での進行ぶりが評価され、今年初めて司会に大抜擢された井ノ原快彦に関しては、その仕切りの上手さが紅白によって再度注目を集めているようだが、しかしインパクトに関しては不足していたようだ。また、別のTVウォッチャーはこう分析する。
「今回の紅白はサプライズが欠けていたように思いますね。前年はサザンオールスターズが31年ぶりに出場したり、中森明菜の謎の中継が話題になったりしたが、今回はこれといったトピックスもなかった。松田聖子の大トリも前年と同じだし、AKB48を卒業した前田敦子と大島優子の出演が"サプライズ"のように演出されたが、実は3月にリリースされる10周年記念シングルに前田・大島の参加が決まっているし、昨年のイベントではすでに歴代メンバーが集まっていたわけで、もはや"元AKBの登場"にサプライズ感はない」
一昨年は『アナと雪の女王』の「レット・イット・ゴー ~ありのままで~」や、SEKAI NO OWARIの「Dragon Night」、三代目J Soul Brothers「R.Y.U.S.E.I.」などスマッシュヒットに恵まれていたが、昨年はヒット曲の不作もあり、どうしても80年代に活躍したレベッカや松田聖子、近藤真彦らの「往年の名曲」に頼らざるを得なくなったことも、新鮮味を欠く要因となった。前述のTVウォッチャーが続ける。
「大晦日は各局が力の入った番組を放送しますから、ツイッターを見ながら色んな放送局をザッピングしてる視聴者も多いはず。だからチャンネルを変える手が思わず止まってしまうようなインパクトが必要なんです。その点、24時間芸人にドッキリを仕掛け続ける日本テレビの『笑ってはいけない~』シリーズは強い。インパクトのある場面のオンパレードですからね。民放のバラエティ番組ほどの冒険はできなくとも、やはり紅白にもあっと驚く仕掛けやサプライズが欲しいものです」
とはいえ、視聴率不振の現代において40%近い平均視聴率を稼げるのは年に一度の紅白歌合戦だけ。今年の大晦日には、最低視聴率を再び更新…なんて寂しい結果にならないよう、昨年以上の番組作りに期待したいものだ。