三代目J Soul Brothers『Unfair World』
師走に入り、テレビ業界も年末年始用の特番の準備に追われ、各芸能事務所のタレントたちは大忙しの時期を迎えている。
12月初旬、渋谷やお台場などでバラエティ番組のロケ収録に挑む姿が目撃されたのは、三代目J Soul Brothersのメンバーたち。突如街なかに現れ、道行く人を驚かすサプライズを決行し、ツイッターなどのSNS上でも目撃情報が相次いだ。
「普通に渋谷の駅前を歩いていたら三代目JSBのメンバーがいて、びっくりしました(笑)。TBSのスペシャル番組の収録だったようです。なんでも、4時間まるっと三代目JSBをメインにした特番になるとの噂です」(現場に居合わせたファン)
『日経エンタテインメント!』(日経BP社)が毎年発表している「ヒット番付」でも、2015年の"西の大関"に選出された三代目J Soul Brothers。その飛躍は目覚ましく、それまでの歌手活動に加えメンバー各々がドラマ、映画、CM、バラエティーのMCなどさまざまなジャンルで活躍の場を広げている。
「三代目JSBがヘタなジャニーズよりも数字を持ち始めているというのは、もはや業界の定説です。雑誌に出せば売れ行きも好調だし、CDセールスもライブ動員数も文句ない。ジャニーズと違ってウェブ禁止という縛りもないので、広告にも起用しやすい。彼ら自身がSNSなどで率先して発信してくれるのも、クライアントにとってはありがたい話。メンバーの登坂広臣のインスタグラムはフォロワー数が100万人を超えましたから、その影響力は計り知れません。久々に数字を持つ若手スターが現れたなという感じです」(広告代理店勤務のA氏)
まさに飛ぶ鳥を落とす勢いを見せる彼らが、さらに盤石の地位を得るため、この年末にいよいよバラエティ番組進出の布石を打つというわけか。しかし、テレビ局スタッフはまったく違う見方をしているようだ。
「確かに、三代目の人気はすごいですが、バラエティ進出は難しいと思います。ジャニーズとEXILE一族の決定的違いは、バラエティスキルの有無。MCとして活躍する中居正広や国分太一はもちろんですが、ジャニーズの若手たちの中にも、最近ではひな壇に座らせても良い仕事をする子が増えている。コンサートのMCにも工夫をこらすジャニーズのタレントたちは、若いうちから訓練されていて、しゃべりも達者です。
一方、EXILE一族はとにかく全員しゃべりが下手(苦笑)。ひな壇なんかに置けるタレントは一人もいませんし、彼らは"アーティスト然"とした姿勢を崩そうとしないので、正直バラエティでは使いにくいです」(テレビ局スタッフ)
EXILE一族のバラエティ出演といえば、『めちゃめちゃイケてるッ!』(フジ)の名物企画「オカザイル」を思い浮かべるが、この番組に関しては『めちゃイケ』だからこそ彼らの素材そのままを活かせたという特殊な背景があるという。
「『めちゃイケ』のEXILEが面白いのは、彼らが持つヤンキー的な側面をデフォルメして、その言葉のふしぶしにツッコミどころを見いだした、ナインティナインや番組制作スタッフの演出力の賜物。言ってしまえば、"素人イジリ"の技術に近い。だからトークの腕がなくともEXILEがただ立っているだけで、きちんと笑いが生まれていました。ですが、通常のバラエティ番組では、タレントが自主的にバラエティ的な動きをしなければならないわけですから、EXILEが『めちゃイケ』と同じ立ち方をしても、笑いを生み出すことはできないでしょう」(TVウォッチャー)
やはりバラエティ番組進出には課題が残っているようだ。しかし、若い層から多くの支持を集める三代目JSBが、視聴率不振にあえぐテレビ業界に一石を投じる可能性はないのだろうか?
「三代目JSBメンバー各々のキャラクターが面白いという評判は聞いています。ボク個人的には、ELLYの天然ボケはバラエティ向きじゃないかと思ってるんですが(笑)。ただ、LDH側には『自分たちの本分はアーティスト活動』という確固たるプライドがあるので、そこがネックになってくる。
ジャニーズのタレントたちがバラエティでこれだけ活躍するにいたったのは、SMAPの存在が大きい。彼らは『アイドルとしての本分』を一度かなぐり捨てて、バラエティ畑に裸一貫で飛び込んだ。だから制作側も"アイドル以上のタスク"を彼らに委ねることができ、結果として面白い番組をたくさん作ることができた。LDHのタレントたちにも裸一貫で体当たりする覚悟があれば、どんどんバラエティ番組に挑戦して新しい風を吹かせて欲しいですけどね」(バラエティ番組制作会社スタッフ)
ボーイズグループの一大組織として君臨するジャニーズ事務所の対抗馬として頭角を現し始めたLDHのタレントたちは、果たしてバラエティ番組でも実績を残すことができるのだろうか。三代目JSBやE-girlsなどの好調で勢いを増す今こそ、果敢に挑んでほしいものである。