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法社会学者・河合幹雄の法痴国家ニッポン【38】

「エロ教授の漏洩事件」に見る司法試験の難しさの“本質”

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法と犯罪と司法から、我が国のウラ側が見えてくる!! 治安悪化の嘘を喝破する希代の法社会学者が語る、警察・検察行政のウラにひそむ真の"意図"──。

今月のニュース

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明大で司法試験が漏洩
2015年5月実施の司法試験で考査委員を務めた明治大学法科大学院の青柳幸一元教授が、教え子の女性に対し、自身の作成した問題と模範解答を漏洩。元教授の専門である憲法分野の答案の完成度が高かったことから発覚した。10月、東京地検特捜部は、青柳元教授を国家公務員法(守秘義務)違反罪で在宅起訴。法務省は、来年の考査委員から現役の法科大学院教員を外す提言をまとめている。


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『ずるい暗記術―――偏差値30から司法試験に一発合格できた勉強法』(ダイヤモンド社)

 “国家資格試験の最難関”とされる司法試験。その本試験において2015年5月、問題の作成などを行う考査委員を務めた明治大学法科大学院の青柳幸一元教授が、恋愛感情を抱いていた教え子で受験生の20代女性に対し、あろうことか問題と模範解答を漏らしていた事実が発覚。10月に東京地検特捜部によって国家公務員法(守秘義務)違反罪で在宅起訴されました。

 メディアはこの事件を大々的に報道。青柳元教授が女好きで贔屓の女子学生を食事に連れ出していたことや、プライドの高さから「ブルー卿」と揶揄されていたことなどをあげつらいつつ、「絶対の公平性が求められる考査委員たる者が、立場を悪用して起こした前代未聞の事件」などと批判しています。

 青柳元教授は、憲法学の専門家として02年から13年間にわたり司法試験の考査委員を務めてきた著名な法学者。その醜聞にメディアが飛びつくのも無理はありません。しかし私は、注目すべきなのはそこではなく、この事件の背景に横たわっている、司法試験という制度が本来的に内包している問題のほうだと考えている。そこで今回は、この事件から透けて見える実情、すなわち、そもそも司法試験とはいかなるもので、どのような“歪み”を抱えているかという、法曹界の内幕をのぞいてみたいと思います。

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