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第1特集
物理学者が選ぶ期待(?)の疑似科学

放射能除染もがん治療も可能にする大発明!? 物理学者らが選定! サイゾー的疑似科学界ノーベル賞

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――日本人のノーベル賞W受賞決定に沸いた10月。今回の受賞決定やノーベル賞自体の検証は他稿で行われているので、ここでは本格的な科学や研究はさておき、本当に実現したらノーベル賞だけど、今のところオカルト扱いされている「疑似科学」をフィーチャーしてみたい。

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晩年に多くの人を期待させる“疑似科学”を提唱したのは、ノーベル化学賞・平和賞を受賞したライナス・ポーリングだった……。(写真/Wikipediaより)

 疑似科学とは、三省堂の『大辞林』によると「科学としての社会的認知のないまま、科学の周辺領域の事象を扱うことの総称」とされている。身近な例を挙げるなら、血液型性格判断なんかがその一種だろう。確かに科学的根拠に乏しく、信憑性も大いに疑われているし、そのほかのオカルティックとされている科学(のようなもの)も、根拠が希薄という点では同様だ。

 だが、ちょっと待ってほしい。

 この地球では、ニュートンが万有引力を発見する以前からリンゴは木から落ちていたし、天動説が信じられていた時代にも地球は宇宙空間をぐるぐる回っていたはずだ。現在、多くの疑似科学はオカルトの座に甘んじてはいるが、それは現代科学で解明できていないだけ、という可能性も捨てきれない。

 そこで今回、長らく「疑似科学」の検証を行ってきた大阪大学サイバーメディアセンターの菊池誠教授と、アンチ・オカルト学者として知られる早稲田大学理工学部の大槻義彦名誉教授に指導を仰いだ。疑似科学に詳しい東西を代表する物理学者たちが選ぶ、解明されたらノーベル賞モノ(!)な研究をもとに、その可能性について考えていこう。

 まず、近年圧倒的な存在感を放っている疑似科学といえば、放射能関連だ。

「東電の福島第一原発事故以降、放射線被ばく防護や放射性セシウム除去に関する怪しい話が次々に登場しました。毛髪検査程度の簡単な測定で内部被ばく量がわかるとか、体内のセシウムを除去してくれるサプリなども、その類いです」(菊池教授)

 それまで、一般的には身近なものとして捉えづらかった放射能に関する事象は、ご存じの通り、2011年に東日本大震災時の影響によって起きた福島第一原子力発電所事故以降、一気に深刻化した。その後、放射性物質による東北・関東圏在住の人たちの健康被害が危惧される状態に陥ったことは、記憶に新しいだろう。

「中でも、特に深刻なものが『EM菌』です。このEM菌は、もともとは農業分野において、土壌改良や有機農業のために開発されたもの。光合成細菌や乳酸菌を中心として抗酸化物質を産生すると称するさまざまな微生物を共生させたと言われ、化学合成された物質を使用していないことから、自然派の人たちの支持を集めてきました。

 しかし最近、EM菌の開発者自身が、この菌で土の中の放射性物質を除去できると提唱し、実際に福島県の一部で実験を行う人たちも出てきたのです」

 EM菌といえば、10年に宮崎県で牛の口蹄疫が発生した際にも、“口蹄疫を防ぐ菌”として話題となっている。もともとケミカルなものではなく、自然界にある菌の集合体ということもあり、人間にとっていい影響だけがあると宣伝されて、困ったことがあると出てくる“万能菌”扱いされるようになったという。

「EM菌の影響力の強さの理由は、なんと言っても、自治体や環境運動のグループが“組織的に”支持していることです。一例ですが、兵庫県川西市の教育委員会もEM菌に注目しているそうです。市内の学校でEM菌を培養し、トイレ掃除に利用しているといいます。EM菌の培養液は酸性なので、トイレがきれいになっても不思議ではないのですが、それならクエン酸などでも同じですし、培養する必要もありません」(同)

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