――10~15年ほど前までは、日本には演出用花火を作る会社が少なく、そのほとんどをアメリカからの輸入に頼っていた。同国では、火工術を総称してパイロテクニクス、また花火師のことをパイロテクニシャンと呼ぶことから、「パイロ」と呼ばれるようになった演出用花火は今、日本の花火業界を大きく変えようとしている。その現状とは?
「パイロ花火」「特殊効果花火」という言葉をご存じだろうか。これは、音響や照明などと合わせ、ショーやライブステージなどで使用される、小規模な演出用花火のことだ。その違いについて、公益社団法人日本煙火協会で専務理事を務める河野晴行氏は話す。
「基本的に、打ち上げ花火とパイロ花火は、取り扱いを担う企業のカテゴリーが別です。外国のアーティストが日本でライブをやる時には、パイロを扱う特殊効果関連の企業が受け皿になるんです。もともと、日本の劇場などでは火気使用は禁止されているので、消防関係の手続きなどを一括で処理するコーディネーターが必要。そこで、特殊効果関連企業の出番というわけです」