――月経(生理)にまつわる不調や婦人科系の病気をはじめ、女性の健康問題に訴えかける本は、一定数の読者を持つジャンルだ。しかしこの、男性は知らない女の園では、トンデモといっても差し支えないような説が流布されていることも。知られざるその世界を紹介しよう。
ダイエットや運動法の本と混じって置かれていることの多い、女性向けの健康本。パッと見は明るくて可愛らしい装丁が大半で、男性は素通りする棚かもしれない。
健康でいたい、いつでも元気でいたい。それは世の大半の人の願いだろう。そんな願望を受け止めて、健康に関する書籍は、出版不況の時代にあってベストセラーを生み出す重要なジャンルだ。昨年は『長生きしたけりゃふくらはぎをもみなさい』(鬼木豊・槙孝子)、今年上半期も『聞くだけで自律神経が整うCDブック』(小林弘幸/共にアスコム)がトーハンベストセラーランキングに入ったように、毎年必ずヒットが生まれている。
そして健康本の中には、20~30代によく読まれていると思われるジャンルがある。それは、妊娠出産と婦人科系の健康をテーマにした本、つまり女性向けのものだ。
結婚・出産の高齢化に伴い、不妊は昔よりも大きな問題になっている。不妊治療を受ける人に向けて厚生労働省が行っている特定治療支援事業の支給実績は、04年に1万7657件だったものが、11年には11万2642件にまで飛躍的に増加。また、結婚・出産が高齢化した原因として、女性の社会進出があるのは自明のことだが、若年層を取り巻く労働環境には厳しいものもあり、ストレスや過労から体調を崩すのは、男女共に珍しいことではない。こと女性では、月経が止まるなど婦人科系の不調を訴える人も多い。労働基準法で生理休暇が定められているといえど、毎月休みを取れる人が果たしてこの日本に何人いるだろうか。あるいは病名のつくような体調不良に限らずとも、男性と比べて外見に気を使わざるを得ない女性にとって、体形や肌の維持のためにも、心身共に好調でいたいというのは当然の願望。こうした動きに伴って、女性向けの健康本は人気となっているのだ。