――書籍をはじめとしたさまざまな刊行物が取引される古書市場。作家の肉筆原稿や名著の初版本であれば高値も付くだろうが、意外なものが評価されることも珍しくない。その一例が、新左翼の機関紙など、学生運動の関連資料だ。いったい誰が買うのか? 何のために買うのか? そして高騰の原因とは?
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■往年の有名闘士が執筆!
全共闘運動以前(~60年代半ばまで)
『マルクス・レーニン主義』のような冊子であれば一定数が現存しており、さほど値段がつかないが、40~60年代半ばまでのビラとなれば希少価値はグッと上がり、数万円で取引がされる。なお『マルクス・レーニン主義』には、この後一次ブントへ結集する山口一理(=佐伯秀光)や加藤明男(=生田浩二)などが執筆陣に名を連ねている。
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■写真集や英語版は価格高騰中
全共闘運動前後(68~70年くらい)
『解放区’68』などの写真集や横須賀基地の英文反戦フリーペーパー『YOKOSUKA DAVID』などは、海外のバイヤーからも人気のため値段が高騰中。一方で名もなき活動家の『自己批判書』なども今では貴重な資料。別のビラに誤った事実を記載したことを謝罪する内容のようだ。
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■表紙で隠された過激思想
赤軍派ほか全共闘運動以降(71年~)
『腹腹時計』は連続企業爆破事件を起こした東アジア反日武装戦線の地下出版物。『世界気象観測報告書2』は表紙もタイトルもダミーで実態は赤軍派の『赤軍NO.14』だ。なお『根拠地にコンミューンの旗をかかげよう』は高見圭司が1971年に参議院選に立候補した時のものと思われる。
1960年代末期にピークを迎えた学生運動。その当時の機関紙や関連組織の刊行物が、時代を経るごとに入手困難になり、古書としての価格が上がっていく……ということは理解できるのだが、実は現在、その一部が異様な値上がりをしているという。