――昨今、その資源の豊富さに注目が集まる北朝鮮。そのビジネスへの関心から、IT環境にも目がいくようなった。“生死”をかけて技術を磨く祖国・北朝鮮のIT事情を在日韓国人ジャーナリストが追いかける。
『コンピュータネットワークとインターネット 第6版』(翔泳社)
「北朝鮮では、大学生であってもひとりでインターネットを利用することができず、2人1組で相互に監視する場合においてのみ使うことが許可される」
グーグルのエリック・シュミット会長は今年4月、サンフランシスコで開催された開発者向けカンファレンスでこのように語り、北朝鮮のネット環境について「世界最悪だ」とこき下ろした。同氏は2013年1月に私人として訪朝し、北朝鮮のネット事情を視察したのだ。
確かに、大まかなところでいえば、かの国のネット事情はシュミット氏が見てきた通りのものだ。
労働新聞や朝鮮中央通信など、北朝鮮当局がいくつか運営している対外向けウェブサイトの使い勝手は、お世辞にも良いとはいえない。しょっちゅうサーバがダウンしたり、検索窓があるのに特定の人名でキーワード検索ができなかったりという具合なのだ。このセンスの悪さこそ、民間人のネット利用の経験値の低さを物語っている。