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町山智浩の「映画がわかる アメリカがわかる」 第92回

『懲罰大陸★USA』――思想犯を拷問!?古典名作の「偽」ドキュメンタリー

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『懲罰大陸★USA』

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ベトナム戦争が激化した1970年、戦争への批判が拡大する中、アメリカのニクソン大統領はマッカラン国内治安維持法を発令。反政府分子を強制拘束し、一方的な裁判にかけ、カリフォルニア州の国立公園に送り込んだ。そこで行われるのは人間狩りだった──。
監督・脚本:ピーター・ワトキンス/8月29日から公開。


 全体主義の国家で、子どもたちが殺し合いゲームを強要される……。2008年にアメリカでスーザン・コリンズの『ハンガー・ゲーム』がベストセラーになって以来、ヴェロニカ・ロス『ダイバージェント異端者』、ジェームズ・ダシュナー『メイズ・ランナー』と、同工異曲のディストピア小説が次々に書かれ、映画化されている。その原点は1999年に日本で出版された高見広春『バトル・ロワイアル』だと言われていたが、『ハンガー・ゲーム』のスーザン・コリンズはスティーヴン・キングが別名で79年に出版した『死のロングウォーク』だと言っている。

 作者たちが何に影響を受けたのかは本人しかわからないが、映画史的には、71年に英国のピーター・ワトキンス監督がアメリカで撮影した『パニッシュメント・パーク』が最初ではないかと思われる。この怪作が『懲罰大陸★USA』の邦題で日本初公開される。

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