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法社会学者・河合幹雄の法痴国家ニッポン【31】

中1生徒殺害から見る知られざる少年犯罪の実態と「年齢引き下げ論」の誤り

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法と犯罪と司法から、我が国のウラ側が見えてくる!! 治安悪化の嘘を喝破する希代の法社会学者が語る、警察・検察行政のウラにひそむ真の"意図"──。

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中1生徒が殺害される
2015年2月、神奈川県川崎市の多摩川の河川敷で、中学1年生の上村遼太君(13)が、集団暴行の末に首を切られて殺害される事件が発生。神奈川県警は、17~18歳の知人の少年3人を殺人容疑で逮捕した。主犯格とされる少年は調べに対して容疑を認め、「上村君が周囲から慕われていてむかついた」などと供述している。

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「週刊新潮」による、主犯とみられる少年の実名報道も問題となった。

 前回に続き今回は、犯罪被害者とはいかなる存在であるかについて詳しく分析する予定でした。しかし2015年2月、神奈川県川崎市で13歳の少年が複数の少年に殺害されるという事件が発生したことを受け、急遽内容を差し替え、この事件を切り口として、少年犯罪の実情と少年法のあり方について論じることにしたいと思います。

 事件が起きたのは2月20日。多摩川の河川敷で、中学1年生の上村遼太君の遺体が発見され、27日に殺人容疑で知り合いの17~18歳の少年3人が逮捕されました。上村君は手足を縛られ、激しい集団暴行を受けた末にカッターナイフで首を切られて殺害されたと見られています。

 例によってメディア各社は、そうしたむごたらしい事件の内容について、昨今国民の間に広く流布している「少年犯罪は凶悪化している」という説を裏づけるものとしてセンセーショナルに報道。主犯格とされる18歳の少年に関しても、「暴れだすと怖くて誰も止められなかった」といった関係者のコメントを引用するなどして凶暴性や異常性を強調し、それが事件発生の原因であるかのように報じています。

 しかし私にいわせれば、そうした見解は的外れもいいところで、おそらくこの少年は、「年下相手にしか強い態度に出られない」といった周囲の評判通りの、いわゆる“ヤンキー”ですらない弱々しい少年、と見るほうがよほど実像に近いと思う。むしろ、加害者がケンカ慣れしていない“暴力に疎い少年”だったからこそ、あのような重大な結果につながってしまったのだと私は見ています。

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