――売り上げ落ち込む紙メディアだが、「週刊文春」「FRIDAY」をはじめとした写真を押さえたスクープはいまだ健在。日夜、張り込み班のたゆまぬ努力によって、それらは生み出されているのだ。ここでは、そんな各種週刊誌の張り込み班記者が集まり、スクープ写真の現場について語った。
『張り込み日記』(ナナロク社)
[参加者]
A…元週刊誌編集者
B…大手女性誌記者
C…写真誌カメラマン
A タレントや有名人の張り込みをして、スクープ写真をものにする「張り込み写真業界」なんて、数十人しかいない狭い世界だから……バレないかな?
B 身元がバレないように、お互い言葉を濁しつつやりましょう(苦笑)。
A まずは、苦労話からかな。普通の人は張り込み班の実態なんて全然知らないよね。俺らはタレントが出てくるまで30時間車の中で待っているなんていうこともザラだし、飲み会の最中でも、夜中に寝ていても、ネタ元からの電話は絶対に逃せない。その電話を取れるか取れないかだけで、1週間の仕事が決まるからね。
C 最近は張り込み班の「高齢化問題」が深刻になってきている。記者でもカメラマンでも30代ならまだ若手扱い。読者の年齢層も上がっているし、みんな老体に鞭を打って頑張ってるね。
B 彼らはスクープ写真が花盛りだったころからの人も多いから、イケイケだよ。普通、張り込みしているときは記者とカメラマンが2人でずっと一緒に動いているから、男女のペアだと、現場でデキちゃうこともあるよね。僕は残念ながら、そういうのはないけど……。
C あるカメラマンは、張り込みの現場でカーセックスするって有名(笑)。素行はひどいんだけれども、腕がいいから仕事がくるんだ。
B でも、張り込み写真の世界でも、うまいカメラマンと下手なカメラマンには大きな差があるね。うまい人は、しっかりとポジションを取って、芸能人がここを歩くだろうという読みを働かせつつ、誌面に載せたときのイメージも考えて写真を撮れる。熱愛スクープだからといって、写真ならどんなものでもいいわけじゃないんだ。しっかり顔が撮れているか、カメラに顔が向いているかは重要だから、タレントの行動が捉えられないカメラマンは話にならない。
A 張り込みは体力勝負だからね。熱愛写真も撮るのが大変だよね。みんなネタがないネタがないって、ぼやいてるよ。
C 特に最近は芸能事務所の教育が行き届いているせいか、タレントもなかなか隙を見せなくなってしまい、写真を撮るのも大変な世の中になった。彼らが住んでいるのも、セキュリティがガッチガチのタワーマンションばかりだから、ますますやりにくいよね。駐車場が地下にあったりすると、車から降りるところをキャッチするのも至難の業だ。
B かつては、車のナンバーさえわかれば、陸運局で照会して持ち主の名前を割り出せたけど、プライバシー保護の関係で6年くらい前からできなくなったのも、張り込み班にとっては痛い。別の取材とかでテレビ局に入ったら、誰かいないかできるだけチェックするし、街中でも芸能人が乗っていそうな車があれば観察をしてるよ。スモークを張った上にカーテンを引いている車は、ほぼ間違いなく何かあると思って見ている。
C 熱愛スクープだったら、とにかくツー(ツーショット)を撮らないと話にならなかった。ツーだったらすぐに載せられるけど、ピン(1人)なら、もう一週間様子を見てから、ということもしばしば。大物だったらピンの写真を集めただけでも記事にできるけど、タレントのバリューがないとピンでは厳しい。カメラマンとしては、ツーの写真が撮れた時の爽快感はたまらないね。
B そういう意味では、最近だと、北川景子とDAIGOが六本木の書店でキスをしている写真【1】はよかったね。あの書店は芸能人御用達として有名で、過去にも浅野忠信をはじめいろいろな人が写真を押さえられているから、必ずどこかの媒体が張り込んでいるんだ。写真を見たけど、あんなところでイチャイチャしてるなんて「撮ってください」と言っているようなものだよ。