ベストセラー作家に向けられた疑惑
故・やしきたかじん氏と妻であるさくら氏の生活を描いたノンフィクション作品『殉愛』(幻冬舎)をめぐっては、限られた取材対象者であることから、発売当初から「捏造」「事実誤認」などの疑惑が噴出した。そんな中、『百田尚樹「殉愛」の真実』(宝島社)が発売され、話題となっている。騒動はついに法廷へ持ち込まれる様相だが……。
『殉愛』(幻冬舎)
関西テレビ界の”首領”として君臨した故・やしきたかじんの死後、関係者の間では訴状が飛び交う事態となっている。これまでの経緯を簡単に説明しておくと、発端となったのはベストセラー作家・百田尚樹が昨年11月に上梓した『殉愛』(幻冬舎)。たかじんが亡くなるわずか3カ月ほど前に入籍したというさくら未亡人の証言をベースに、百田氏が2年間にわたる「たかじん最期の闘病生活」を描いた”渾身のノンフィクション”である。
ところが発売直後から、ネット上でさくら氏の経歴やたかじんが残したといわれる遺産相続にふれたメモの捏造など、本の内容に対する疑問が噴出。さくら氏が天使のような献身を捧げた人物として描かれている一方で、たかじんの長女であるH氏は”金ばかりせびってくる娘”、元たかじんのマネージャー・K氏は”無能で嫌味な人間”として描かれているなど、一方的な記述が過ぎるのではないかといった指摘も殺到した。
もっとも、当初は「よくある芸能人の遺産争い」と思われたこの騒動も、現在は週刊誌的な興味の範疇【1】を超え、大ベストセラー作家である百田氏や、作家を守る大手出版社やテレビ局、それに対抗して疑惑を追及するネットや一部マスコミという対立にまで戦線が拡大している。