サイゾーpremium  > 特集  > タブー  > 【ネトウヨ芸能人】の危ない系譜

――"ネトウヨ"というワードがすっかり浸透し、ネット上には中国・韓国をヘイトする言葉であふれているわけだが、近年、芸能人がツイッターやブログなどで保守的・ 愛国的・排外的な発言をし、炎上するケースが増えているように思う。そんな彼らを、ここでは"ネトウヨ芸能人"と呼び、そのルーツと変遷を探ってみたい。

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『ネトウヨ化する日本』(角川EPUB選書)

 テロ組織・ISILが日本人を拘束、2億ドルの身代金を要求した末に殺害した事件が世界中を震撼させた。しかし、海外の人々が驚いたのは、ISILの残虐さだけでなく、人質を取られた当の日本国民の冷酷さに対してでもあった。CNNやロイターといった欧米のメディアは、日本のソーシャルメディアに散見される「人質2人は危険地帯とわかっていて足を運んだのだから、拘束されても仕方がない。身代金を払う必要はない」といったいわゆる"自己責任論"を日本独特の反応だと分析。また、イギリスのBBCは、デヴィ夫人が自身のブログで、人質のひとりである故・後藤健二の拘束が判明した際、「大・大・大・大迷惑」「いっそ 自決してほしい」と書いたこと、そして、そのエントリーにフェイスブックで1万1000以上(2月10日現在は2万以上)の"いいね!"が付いたことに驚きを隠せない調子で報じた。

 ところで、BBCはデヴィを「極端な意見で知られるテレビタレント」と紹介したが、確かに彼女の意見は"極端"ではあるものの一定の支持を得ているし、人質を揶揄した著名人は彼女ひとりではない。ツイッターでは、タレントのフィフィが「(自分なら)舌噛んで死ぬ」とつぶやき、政治活動家の田母神俊雄は、後藤と、彼の解放を求めて記者会見した母親の名字が違ったことについて「ネットでは在日の方で通名を使っているからだという情報が流れています」「マスコミにも後藤健二さんの経歴なども調べて流して欲しい」などとヘイトスピーチを展開した。

 そこで、田母神が「ネットでは~という情報が流れています」と書いていることは重要で、実際にそうした情報を流していたのは信用に値するメディアやジャーナリストではなく、いわゆる"ネット右翼=ネトウヨ"と呼ばれるネットを拠点とする排外的ナショナリストにすぎない。いわば、デヴィやフィフィ、田母神は、それらネトウヨの偏見を代弁したり拡散したりする広告塔="ネトウヨ芸能人"なのだ。そのような存在はいつ頃から出現し始めたのか。

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