――『やりすぎコージー』からスタートし、今や”Mr.都市伝説”の名でベストセラーを生み続ける、都市伝説の語り部・関暁夫。一方で、近年の日本、ことにネットにおいては、いわゆる陰謀論を信じる人も急増中だ。この状況の火付け役のひとりとして、関自身はいまの日本社会をどう捉えているのだろうか? 本人に直撃した。
(写真/江森康之)
――最近ネットを見ていると、いわゆる陰謀論的なものが以前に比べて勢いを増している気がします。関さんは、現状をどう感じていますか?
関 今はもう、新たな真実に気づいた人から、自分自身で書き込みを始める時代ですからね。インターネットはニューメディアであり、その意味では誰もがメディア関係者です。ただ一方、インターネットは無責任の集大成とも言えるわけで、自分の書き込んだ無責任な情報が誰かを傷つけ、その記録が回り回って自分を追い込むケースにも発展する。これまではマスコミに従事する特定の人たちだけが抱えていたストレスを、今後はすべての国民が抱えることになるのです。逆に、例えばこういったインタビューでも、以前は雑誌に掲載された情報が全部でしたが、今や取材風景を僕がこっそりカメラで撮影してネットにアップすることもできます。仮に捏造があった場合、雑誌の記事と現場の動画と、どちらが真実かは明らかですよね。そういう時代なんだという自覚を早く持ったほうがいい。
――すべてが記録されている……それはかなりのストレス社会ですね。
関 意識を新しい価値観に切り替えることができない人は、精神が崩れるでしょうね。ほかにも価値観の変革は次々に起きています。ひと昔前は「酒の席では政治と宗教と野球の話はご法度」なんて言われていましたが、これからは誰もが政治と宗教の話をするようになる。基本的な知識や認識を持っていないと、本当に誰からも相手にされなくなりますよ。
――確かに、最近は特に政治と宗教がトップニュースになっています。
関 今の時代、皆”再生”に向かっていきたいんですよ。それなのに、古いしがらみに誘い込む人たちがたくさんいる。
――「古いしがらみ」というのは、具体的にいうと何ですか?
関 ストレートに言ってしまうと「戦後」ですね。すべては戦後から始まっている。