――こじれてしまった日韓関係の中で、ひとりの日本人青年が切り開くアジアエンターテインメントの未来。
(写真/細倉真弓)
2014年、韓国で突如知名度が急上昇した日本人がいる。彼の名はTAKUYA。日中韓混合のアジアグローバルユニット「CROSS GENE」のメンバーとして活躍する”K-POP”アーティストだ。14年末には、その活躍が認められ、韓国で文化や産業などの分野に寄与した人物に贈られる「2014大韓民国韓流大賞」国際交流大賞・個人の部を受賞した。
TAKUYAの名を韓国中に知らしめたのは『非首脳会談』というテレビ番組だった。これは、在韓外国人十数名が、韓国人MCのもとで毎回ひとつのテーマについて各国の事情を交えながら議論し合うトークバラエティ。その中で彼は、物静かに人の話を聞き、落ち着いた口調で話す日本人らしい姿で人気を集めた。
しかし、なぜ22歳の青年は韓国で活動をしているのだろうか。きっかけは、所属事務所からのある提案だった。「韓国に行かないか」と声をかけられた当時18歳だった青年は「行きます」と即答。結果、単身で韓国へ渡ることとなった。
「渡韓するまでは役者の仕事をしていたのですが、消極的な自分の性格を変えなければ、このまま続けても日本の芸能界では鳴かず飛ばずで終わるだろうと思っていて。自分が変化せざるを得ない状況に身を置けるこの機会を逃したらダメになる──と、直感的に韓国に行こうと決めました」