――大相撲といえば周知の通り、「タニマチ」という言葉を生んだスポーツだ。昨今では、そのおカネ事情というと「八百長問題」を喚起させるかもしれないが、本来、力士たちの収入ほど実力主義のものはない。果たして、その収入事情、さらには昨今のタニマチ事情はどうなっているのだろうか?
『今、ここで勝つために』(徳間書店)
相撲が今、ブームとなっている"裏付け"として、冒頭でも触れた遠藤関の懸賞金の本数をはじめ、全国規模の個人後援会が次々に発足されるなど、お金にかかわる話題にも注目が集まっている。こうした背景には、『大相撲事件史』(長崎出版)などの著者で、相撲ジャーナリストの荒井太郎氏も「遠藤や逸ノ城らの台頭はもちろんですが、日本相撲協会による仕掛け、特に、女性の広報さんによる"女性目線の仕掛け"が奏功しているのではないか」と話す。例えば、女性限定で力士に"お姫様抱っこ"してもらえるといったイベントなどは、まさしくそれだ。
「新たなファン層の獲得によって、本場所の人気だけでなく、地方巡業の数も増えました。2013年には29カ所、14年は38カ所とその数を伸ばし、15年はついに、若貴ブーム以来の50カ所を超えるのではないかともみられています。これはいかに、今のブームが本物かを物語っている数字でしょう」(同)
地方巡業は、1度の開催につき、興行主には約2000万円もの費用が必要だといわれている。まだまだ景気低迷中にもかかわらず、これだけ巡業が増えるのは、まさに相撲ブームが推し進められた結果なのだ。
琴欧洲の気配りは完璧!タニマチと力士の関係性
そうした中において、遠藤は入門1年目にして、出身地である石川県だけでなく、大阪、名古屋、東京と全国に個人後援会が続々と発足されるという、異例の事態を見せた。そんな遠藤をはじめ、琴欧洲のタニマチをしているというのが、マダムシンコこと実業家の川村信子氏だ。
「私はもともとスポーツ全般が好きで、特に格闘技は、ボクシングでも亀田興毅くんのスポンサーをさせてもらっているほどでした。そんな中、相撲のタニマチをするようになったのは、12年にたまたま行ったパーティーがきっかけだったんです。そこで初めて琴欧洲さんにお会いして……その日は名刺を渡してご挨拶をしただけだったんですが、その後、また別のパーティーでお会いすることがあったんですよ。その時に、とても優しく声をかけてくれて。それからは、私が『パーティーをするんですけど、ちょっと顔を出してくれませんか?』とお願いをしたら、2つ返事で了承してくれる。そんな彼の人柄に惚れ込んで、陰ながら応援をさせてもらうことになったんです」