――東京は、伝統宗教の巨大施設がそびえる一方で、新宗教がひしめく都市でもある。本稿では、都内に存在する主要な教団の立地をマップ化すると同時に、創価学会と幸福の科学という、日本の新宗教界で存在感を発揮する二大教団がどんな地域に支部を置いているのかを調べることで、その不動産事情を考察する。
『都心に住む by SUUMO』(リクルートホールディングス)
日本の首都・東京には、約9000個弱の宗教団体がある(文化庁調べ)。
この数は、ほかの道府県に比べれば確かに多い部類であるが、決して群を抜いているわけではない。例えば愛知県には1万1550団体、大阪府なら1万390団体、兵庫県ならば1万1230団体が登録されている。東京の宗教団体はこの3自治体に比べればはるかに少ない。
ただし、愛知県ならばその面積は5165平方キロメートル、兵庫県は8396平方キロメートル。東京都は2188平方キロメートルと、面積でいえば47都道府県中下から3番目の狭さを誇る。大阪府も1900平方キロメートルで全国46位と狭く、東京・大阪の二大都市は、宗教密度が異常に高い都市になっている。
さらに東京の場合は、ここに地価の高さが加わってくる。東京都の地価平均は263万7699円/坪と、第2位の神奈川県(76万6353円/坪)にトリプルスコアをつけている。つまり、宗教施設のような巨大な建物を建てるには最も向かない都市に、9000もの団体がひしめきあっているのだ(むろん、すべての団体が巨大な施設を持っているわけではないが)。本稿では、そうした東京に居を構える宗教団体のうちの新宗教にスポットを当てて、その不動産事情を読み解いていきたい。
白金・幸福の科学ムラは地代総額100億円超!!
東京都内には、数多くの新宗教の建物が存在している。街中を歩いていると、巨大な施設に出くわすこともしばしばあることだ。上記の地図では、比較的規模が大きく、東京を拠点にしている、あるいは他道府県に聖地を持ちながら関東圏の信者に対応すべく東京に地域本部を構えている教団をまとめている。こうして眺めると、目立って多いのが「渋谷区」「港区」「新宿区」「文京区」、次いで「杉並区」「台東区」あたりであることがわかる。
「渋谷区」には、韓国に母体を持つ世界基督教統一神霊協会、通称・統一教会が日本本部を置いている。こちらは住所でいうと渋谷区屈指の高級住宅街・松涛1丁目に位置しており、その面積はおよそ110坪ほどになる(編集部算出/以下同)。松涛1丁目の公示価格を参考にすると、約470万円/坪。単純計算で5億円超の地代がかかっていることになる。
統一教会から歩いて5分程度の場所には、大阪に本拠地を置くPL教団の東京中央教会が建っている。その手前には病院施設「PL東京健康管理センター」を併設しており、この2つの施設を合わせるとおおよその面積は約676坪程度。こちらの住所は神山町となり、近隣の公示価格は315万3719円/坪のため、地代だけで21億円を超える。