――近頃、軒並み高視聴率をたたき出すという明るい話題が続くテレビ東京。一方、在京キー局ではないながら、破天荒コンテンツで独自の味を醸し出し、注目を集めるTOKYO MX。アングラを飛び越えて、”新東京”のアンテナを確立するのはどちらの局か、徹底比較!
2011年、アナログ放送が停止され、地デジ化による統一で東京スカイツリーへと送信所を移転したことが、TOKYO MXの経営状況を好転させた。
長らく”キング・オブ・メディア”として君臨してきた地上波テレビ局は、多チャンネル化やインターネットの進化などにより、苦戦を強いられている。そのなかにあって近年、存在感を現しているのがテレビ東京と、TOKYO MX(以下MX)という東京に社屋を構える2局だ。テレ東は、『ローカル路線バス乗り継ぎの旅』『Youは何しに日本へ?』など、今や4強(日本テレビ/TBS/フジテレビ/テレビ朝日)のキー局が類似番組を作るほどのヒット企画を生み出している。
「他局と比べて番組制作費が3分の1程度という低予算なので、ギャラのかかるタレントをたくさん呼ぶ番組はハナから作れない。そのため、自然とアイデア勝負になるし、スタジオで録れないからロケ番組が主体となる。ここ数年で視聴者は、ひな壇タレントが予定調和で騒ぐような番組に飽き始めています。そこで低予算がゆえのロケによってハプニングをガチで作り出せたり、あるいは『モヤモヤさまぁ~ず2』のようなユルさを前面に押し出しても番組を成立させられるテレ東の人気が出ているのだと思います」(構成作家)
ネット上では、ここ数年来続く嫌韓ブームのあおりもあってフジが嫌悪される中、テレ東はそういった”独自路線”が高い支持を得ている。
「各局がニュース速報を流しているとき、テレ東だけはアニメや映画の再放送を流している場合がありますが、それをネット民は『ブレないテレ東』といって絶賛してくれます。でも、実はこれも予算のなさの現れで、通常、番組がニュース速報に差し替えられれば、局はスポンサーに違約金を払わないといけない。テレ東は余計な金をかけられないから、そのまま放送しているだけなんです」(テレ東関係者)
一方、”ギリギリのキー局”のテレ東とは異なり、完全な独立局でありながら、異様な存在感を発揮しているのがMXだ。夕方の情報番組『5時に夢中!』はマツコ・デラックスを見いだしたことでも知られているが、その後も中島知子や酒井法子、板東英二など、ひと騒動起こした芸能人をゲスト出演させるなど過激な番組作りがネット上で話題となっている。あるいは、土日の23時以降をすべてアニメ枠にし、『ジョジョの奇妙な冒険』『メカクシティアクターズ』などアニヲタに好まれる作品を積極的に放送。結果、東京近郊在住のアニヲタの間では「アニメを見るならMX」という定評を得るまでに至った。そうした努力が実を結び、今年度の中間決算(4~9月)では、売上高は4期連続で過去最高を更新した。