――数々の芸能スクープをモノにしてきた芸能評論家・二田一比古が、芸能ゴシップの“今昔物語”を語り尽くす!
『ベッキーの心のとびら』(幻冬舎)
芸人とタレントの熱愛報道がしきりに伝えられている。“バイきんぐ”の小峠英二とタレントの坂口杏里。そして、スキャンダル処女と呼ばれて久しいタレントのベッキーが“ウーマンラッシュアワー”の村本大輔との熱愛らしき現場が報じられた。
「小峠は初のゴシップですが、坂口のほうが一方的に熱を上げているだけで、小峠は戸惑っている。それに坂口は女優の故・坂口良子の娘というだけで、無名に近いタレント。売名行為との話もあるだけに、知人から熱愛に発展する可能性は低い。仮に熱愛でもネタみたいなもので、今やバラエティーに出るには恋愛ネタは必須アイテム。ベッキーと村本は意外な組み合わせで、ひょっとすると本命かもとの声も出ています。今のところ両者とも『友達の一人』として熱愛については否定していますが、鵜呑みにはできません。今後も要注意カップルとみています」(女性誌記者)
芸人と女性タレントの組み合わせは今に始まったことではない。年々、増える一方である。理由は単純明快。番組の共演である。
「芸人とタレントは芸能界でもっとも増殖している人たちであり、バラエティーで必ず共演する組み合わせ。出会いがあるから進展もある。しかも、アイドルではないから恋愛は自由。特に芸人は熱愛でも失恋でも、ネタにできるからむしろ積極的。もちろん、スケベ心がなければ近づかないでしょうから、いい思いをできる可能性もあり、逆に女性タレントも芸人と付き合えば話題になる。話題になれば仕事が増える構図ですから、積極的にネタを求めて芸人に近づくことになる。言い方は悪いですが、芸人と女性タレントは芸能界で“野放し”状態にあります。」(テレビ関係者)
芸能界の歴史を紐解けば、芸能界は実に内部恋愛が多い。芸能界をひとつの会社と例えれば、大半が社内恋愛であり、社内結婚をしている。
役者の世界なら古くは石原裕次郎・北原三枝。三浦友和・山口百恵。歌手では杉良太郎・伍代夏子。すでに離婚した森進一・森昌子カップルらも含めれば、大半は芸能界で出会い、結婚している。
「要するに出会いがない。顏が売れているだけに外で出会いを求めるのは難しい。結局、手短な芸能界のなかで恋愛する人を探し、そのまま結婚してしまう。今は携帯のある時代。共演後に個人的に連絡を取りやすいから出会いからデートに進展するぐらいは簡単にできる。恋愛しやすい環境にあるから今後も増えるでしょう」(芸能関係者)
役者、芸人にとっては“入れ食い”状態かもしれないが、対照的に蚊帳の外なのがアイドルや歌手の人たち。役者ならドラマや映画の撮影で何か月もの間、現場が一緒になり、狙うチャンスもあれば、相手の様子も伺うことができるが、歌手は単発の共演しかない。元芸能プロ経営者がこう話す。
「昔、僕が女性歌手をマネジメントしていた時代、とにかく気を付けていたのが男。歌番組で必然的に男性歌手の方と共演する。初共演の時は挨拶ぐらいでも、何度も顔を合わせるうちに連絡先を聞いてくる。これをさせないように常に監視していました。マネージャーや付き人にガードさせて。さらに、余計な私語をさせないようにして、男性歌手から守っていた。でも、男もあの手この手を使って近づいてくる。携帯のない時代ですから、知りたいのは自宅の電話番号。男は舞台に並んだ一瞬のスキを狙い、小さなメモ用紙に書いた自分の電話番号と、“電話下さい”と書いておく。電話が来れば一歩前進。そうやって我々の目を盗んで交際に発展させていたものです」
そんな監視の目を縫って交際。やがて公になった例もある。郷ひろみ・松田聖子。田原俊彦・中山美穂。近藤真彦・中森明菜。彼らは世間を驚かせた大物カップル。しかし、すべてのカップルとも結婚に至ることなく破局している。
「昔はどっちがいいよったにせよ、男が女に手を出したという見方をされていて、へたをすれば、女の事務所に男が謝りに行くのが常識とされていた。その上で『交際させてください』というか、別れるかの判断になる。田原は交際させてと言ったと伝えられています。その結果、マスコミが多く待ち受けている正月のハワイに婚前旅行に行ったのです。公になる前に別れさせられたカップルもいます。それほど歌手同士。特にアイドル同士の恋愛はご法度だったのです。AKBが恋愛禁止という決まりを公にしたのは、過去の芸能界から学んだことでしょう」(元芸能プロ幹部)
芸人とタレントはネタ。役者や歌手同士は本物。これを頭にインプットして熱愛発覚カップルを見るのも一興……である。
ふただ・かずひこ
芸能ジャーナリスト。テレビなどでコメンテーターとして活躍するかたわら、安室奈美恵の母親が娘・奈美恵の生い立ちを綴った「約束」(扶桑社刊)、赤塚不二夫氏の単行本の出版プロデュースなども手がける。青山学院大学法学部卒業後、男性週刊誌を経て、女性誌「微笑」(祥伝社/廃刊)、写真誌「Emma」(文藝春秋/廃刊)の専属スタッフを経て、フリーとして独立。週刊誌やスポーツ新聞などで幅広く活躍する。現在は『おはようコールABC』(朝日放送)、『今日感テレビ』(RKB毎日放送)などにコメンテーターとして出演。