――AKB48グループの多くのメンバーが在籍するAKS。人材派遣業として登録されているこの会社だが、同社所属以外の人気メンバーを大手芸能プロに所属させているためか、はたまた非上場のためか、その実情は掴みづらい。そんな同社はどのような業務形態なのだろうか?
秋葉原の小劇場からスタートし、今やスタジアム規模の会場までを埋め尽くすAKBグループ。真ん中は、窪田氏との愛人関係が取り沙汰された篠田麻里子。
今年6月末、長年AKB48の後ろ盾として活動してきた窪田康志氏が、マネジメント会社である株式会社AKSの社長の座を退いた。今夏に発売された週刊誌などによると、同社では窪田氏の放漫経営が問題視されており、業を煮やしたAKSの実質的親会社であるパチンコメーカー京楽が、窪田氏が保有するAKSの株を買い取り、社長退任を決定したという。
「退任したとはいえ、今でも現場で彼の姿を見ることも。現在の社長は京楽からの出向ですが、芸能ビジネスに関してはズブの素人で、現場を動かしているのは相変わらず昔からの古参スタッフですよ」(スポーツ紙芸能デスク)
そんな同社は2年前から、AKBのスポンサーである京楽産業から吉成夏子氏が出向し、今年1月から代表取締役として2人代表制を敷いていたが、現在は吉成氏1人となっている。この京楽とAKSを相手取り、訴訟を起こしているのがドン・キホーテだ。周知の通り、東京・秋葉原のAKB48劇場は、ドン・キホーテ秋葉原店8階に位置し、デビュー公演も行われたAKBの本拠地である。店舗内へのAKB48劇場設置とその他の支援を条件に、ドン・キホーテは公式グッズの独占販売権取得をAKS側と合意していた。にもかかわらず、「京楽がメンバーの登場するパチンコ機器を無断で販売した」という理由で、同社はAKSと京楽を相手取り、販売差し止めと50億円の賠償金を求める訴訟を起こしたのだ。裁判の詳細は”資料に対して閲覧制限の申請手続き中で、閲覧できない状態”(10月26日現在、東京地裁)のため、今後どのような判決が下るのか、はたまた和解で落ち着くのかは不透明だ。
今年に入ってさまざまな企業リスクが顕在化しているAKS。だが、そもそも企業体として見た同社は、どのような事業体系になっているのか。非上場ゆえ、ブラックボックスになりがちな同社含む主要系列企業は、海外(中国1社)を合わせると7社あるとされるが、今回はAKSと国内5社の計6社について見ていこう。
まずは株式会社AKS。06年1月に設立され、登記上は総合イベント会社である。同社前代表の窪田氏が、AKBの運営・管理を主たる事業として、ケーアールケープロデュース株式会社内に設立(後述)したとされる。そもそもAKB関連業務は、芝幸太郎氏が創業した株式会社オフィスフォーティーエイトという、芸能プロが担っていた。05年、作詞家の秋元康氏、窪田氏、芝氏(3者のイニシャルを取ってAKSとした説が根強い)、電通などと協力し、『秋葉原48プロジェクト』を発足したのがきっかけでAKB48が誕生、06年のAKS設立に伴い、同社へAKB関連の業務を移管した。AKSは芸能プロダクション、レコード会社・音楽出版社映画の企画および制作会社などの役割も果たし、AKBのほか、SKE48、HKT48の運営管理会社であり、これらの商標権を保有している(ちなみにNMB48は吉本興業が運営管理)。グループのオーディションに合格すると、AKSに最初に所属し、能力が買われれば大手芸能プロダクションなどへ所属が決定するというスタイルをとっている。