――2次元にも3次元にも飽きたらず、とうとう”モノ”としての無機物にまで手を出してしまった迷える子羊の腐女子たち。「企業合併はまじでヤバイ」「鉄道会社の相互乗り入れは甘美すぎて危険すぎる」とのたまい、萌え萌えキーワードを探すためにせっせと会社四季報を読み解く、”会社擬人化萌え”腐女子たちのディープな世界に迫る!
『政党擬人化政党たん ~解散総選挙編~』(リブレ出版)
ボーイズ・ラブ(BL)という名のホモ行為に萌え萌えし、同人誌やウェブなどで日夜その創作ストーリー制作に血道を上げるのが、ご存じ腐女子カルチャー。タレントなど実在の人物を素材にした”ナマモノ”、マンガやアニメを素材にした”2次元”、2次元を原作とした舞台のイケメン役者などを素材とした”2・5次元”などはよく知られているが、その中でも極北に位置する「擬人化」なるジャンルをご存じだろうか? 鉛筆&消しゴムなどの”無機物”、果ては民主主義と社会主義といった”概念”にまで触手を伸ばし、それらを擬人化してイケメンに仕立て上げ、ラブったりチュウしたり乳くり合ったりさせる、常人には理解しがたいジャンルである。
「昔からあったジャンルではあるんですが、00年代後半に、国家を擬人化した『ヘタリア Axis powers』(幻冬舎)や鉄道を擬人化した『青春(あおはる)鉄道』(メディアファクトリー)といった作品が商業的にヒットし、腐女子内ではわりと一般的になりました」(東京都在住26歳腐女子)
もはや腐女子にとっては、森羅万象が萌えの対象。当然そこには「企業」も含まれる。なれど、企業と企業のホモ行為って……?
まず、企業に萌えるといっても、本社ビルを見学したりはしない。腐女子による萌えの本質は「カップリング」にあり。なれば企業の擬人化萌えにおいても、”恋愛関係”にある2社(ないしそれ以上)の企業を設定し、キャラクター化して「攻め」と「受け」の組み合わせを妄想することこそが肝要となってくる。
そのいくつかの例は左ページの有名企業カップリング集を参照してほしいが、その際のわかりやすい萌えポイントとしてまず挙げられるのが、「合併」である。
「銀行とか最近、しょっちゅうくっつきやがるでしょう。ヤバいですよね! 3P4P当たり前じゃないですか。あと、友好的な業務提携もいいですけど、TOB(株式公開買い付け)で無理やり犯されちゃうパターンもイケますな!」(神奈川県在住39歳腐女子)