週刊大衆 2014年 11/3号(双葉社)
2014年も早いもので残り2ヶ月を切ったが、マスコミ業界、とくに紙媒体を取り巻く環境は悪化の一途をたどっている。
年々下がる部数を何とか打開しようと、サッカーW杯ブラジル大会に力を注いでいたスポーツ紙は軒並み完敗。
ブラジルとの時差の関係を抜きにしても、速報性で劣るスポーツ紙が一次情報でインターネット媒体に勝てるワケがないのだが、それでも夢を見ていた各スポーツ紙は完全に厳しい現実を突きつけられたようだ。
「運動部のデスク連中は相当気合いが入っていましたが、売り上げ増にはまったく結びつきませんでした。お偉いさんの中には『日本代表がもうちょっと頑張ってくれれば…』なんて会議で言っている人もいましたけど、そういう問題じゃないと思いますよ。スピードではネットに勝てないし、昔の野球ファンなんかと違って今のサッカーファンは、スポーツ紙にそれほどコアな情報を期待していませんからね。本当にサッカーが好きな人は専門誌を買うでしょうし。かく言う私も試合結果はスマホでチェックしていました(笑)」とは某スポーツ紙の記者。
そうした中で、さらに厳しい状況に置かれているのが宅配ではなく、即売を購買層のメーンにする週刊誌だ。
日本雑誌協会が公表している各週刊誌、女性誌、写真週刊誌の印刷部数を見てみると、「AERA」や「SPA!」、「サンデー毎日」に至っては10万部を切る目前で、各誌とも昨年に比べて軒並み部数がダウンしている。
「『週刊大衆』を発行する双葉社は冬のボーナスゼロが確定。『週刊アサヒ芸能』を発行する徳間書店は社員のリストラを決めたそうです。来年には大手コンビニチェーンが雑誌用の棚を半分にする動きを見せており、来年以降はさらに厳しい状況になるでしょうね。『女性自身』を発行する大手出版社の光文社でも、以前ほどには取材経費を切れなくなってきているそうです」(某週刊誌記者)
とくにツライのが写真週刊誌の編集部だそうで、「写真週刊誌はハリコミなどもあり、取材経費がかかる一方で、週刊誌や女性誌ほど広告が入らないですからね。最近ではせっかくスクープを報じても、まとめサイトにパクられて実売には結びつきにくいですし」とは某女性誌デスク。
実際、こんな話も…。
「『フライデー』は最近、ネタ提供者への謝礼もだいぶ下がってきていますし、編集部にあるカメラマンの席をなくしました。『フラッシュ』もただでさえ売れ行きが良くないのに、この間のグラビア絡みの発売中止騒動で編集部に対する社内の風当たりも強いそうです。記者の取材経費やタクシー代もかなり厳しくチェックされていて、飲食費に関してはほとんど切れなくなっていると聞きます。写真週刊誌が取材経費を節約するようになったら、もはや雑誌の存在自体が岐路に立たされていると言ってもいいんじゃないでしょうか」(同女性誌デスク)
冗談抜きで日本から週刊誌が消える日が来るかもしれない。