――DVDや配信でしか流通していない、成人指定の18禁のアダルトアニメにも長い歴史があることをご存じだろうか? 実は有名声優が喘ぎ声を担当している作品、そして、アダルトアニメなのに一般作とコラボしちゃった作品などなど、アダルトアニメの甘美すぎるディープな世界に迫る!
エロアニメやエロゲーを買うなら、東京ではアキバ☆ソフマップ1号店が定番なのだとか。
実写の映像作品にポルノやAVがあるように、アニメにもエロアニメがある。
エロアニメとは、文字通り成人を対象とした性的な表現を含むアニメーション作品のことで、要は美少女キャラクターがバコバコとハメて、そこに声優がアヘアヘと喘ぎ声をアフレコしているものだ。18禁であるため当然テレビでは放送できず、1巻につき約30分の本編が収録されたDVDが、セルもしくはレンタルで流通している。エロアニメDVDの販売価格はだいたい6800円(税別)で、かつては1万本以上のセールスを記録する作品もあったが、現在では3000本売れればヒットといわれ、1000本を切る作品もざらにある。
では、なぜそのような状況に陥ってしまったのか? 本稿では、知られざるエロアニメの世界に迫りたい。なお70ページに、編集部が独自にセレクトしたエロアニメ傑作選を挙げているので、そちらも参照してほしい。
まず実質的な日本初の商業用エロアニメは、84年にフェアリーダストが制作したOVA(オリジナルビデオアニメ)『くりいむレモン』シリーズだというのが定説だ。
「それ以前にも18禁OVAは制作されていたのですが、絵柄が古臭い劇画調だったりして、まったく売れませんでした。80年代初頭は『レモンピープル』(あまとりあ社)などロリコン系のエロマンガ雑誌が人気を博しており、ロリ美少女に特化した『くりいむレモン』シリーズは、その流れにうまく乗って爆発的に売れたんです」
そう語るのは、エロアニメに詳しいアニメライターA氏。同シリーズの第1作「媚・妹・Baby(ビー・マイ・ベイビー)」は、タイトル通り「妹」=ロリコン的嗜好を打ち出し、第2作では「レズ&SM」、第3作では「触手」と、立て続けに新ジャンルを開拓して大ブームとなった。
この成功を受け、80年代後半にはさまざまなエロアニメが制作されたが、目立ったヒットといえば、一般AVメーカーとして知られる宇宙企画が制作したオリジナルアニメ『リヨン伝説フレア』(86年)と、前田俊夫の成人向けマンガを原作とした『超神伝説うろつき童子』シリーズ(87~96年)くらい。結果として以後、オリジナルのエロアニメはほとんど制作されなくなり、エロマンガ原作のエロアニメも00年代半ばまで影を潜めることとなる。